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[野莉原花南] ちょー新世界より

「あたしがその、木蓮の国に行ったら、助かる?」
「う、うん。それはそりゃもう」
ひどくうれしそうに宝珠は笑う。
「じゃ行く!」

ちょーシリーズの第十一弾は、東大陸で忌み嫌われる魔獣の宝珠が、家出した先で出会った男に西大陸のトードリアを目指しては、と促されて……というお話です。レフーラ編から七年の月日が経ち、子供たち編になったようですね。

いやあ、楽しいなあ。主人公的存在の宝珠が、今までの関係者ではなく、東大陸にすむ女の子ってことで、ふーんと普通に読んでたら、遭遇した男に覚えがあって、にやりとしてしまいました。なんだなんだ、こんなところに来てたのか。いまだジオの境遇は知らないけど、でもジオのことを忘れてない思いに、ちょっとグッときてしまう僕がいる。

その出会いから宝珠は、東大陸から西大陸のトードリアを目指すんですが、海を渡る旅ということで、いろいろ困難に遭遇するんだけど、へこたれない好奇心と、女の子らしいしたたかさで乗り切っていくところがいいですね。ひょんなところから海賊に拾われて、そこにはオニキスがいたりして。はじめは面倒を見ていたオニキスだけど、だんだんと彼女に引っ張られたりもしてて、なんかいい関係になってました。まあ、男女の仲になるかはわからないけれど、彼女の運命を考えると、大切な人にはなりそうな予感。

オニキスだけでなく、アルマースやらロビンやらカッラなど、出てくるだけで嬉しくなってしまう人たちの姿をたくさん見ることができました。七年経って成長した人もいれば、変わらず恰好いい人がいて。
そんな中、一番嬉しかったのは、カッラの妹さんが生きていてくれたことでしょう。無事とは言い切れないかもしれないけれど、でも生きていてくれた。彼等の犠牲は間違ってなかったと思える風景にじわっとさせられる。

そういえば、ちょっとオニキスの様子が変だと思ったら、どうやら両親のためにひとつ大きな選択をしたようで、なかなか違和感を覚える描写が多々ありましたが、親を思う気持ちはわかるけど、目の当たりにした周囲の人たちからすると、ちょっとさびしい気持ちもありますよね。でも、もう一度、新たに絆を深めていくことだってできると思うので、ぜひとも頑張ってほしいな。

と、いいこと尽くめのように書いてるけど(そうか)、実はレフーラが魔族のせいでいろいろ危険な目に合ってるんですよね。美しき女王のヴィアは相変わらずのようですが、さりとて危険に変わりはないし……ああ、もう、魔王は何をやってるんだ?

ちょー新世界より (コバルト文庫) - 野梨原 花南

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