「では、今エースになって、幸せですか?」
「たぶんな。もちろん、まだまだ満足はしていない。おれは俗物だからな。もっと注目されたいし、もっと権力がほしい。ついでにもっともっと女にもてて金が入れば言うことはない ―― だが、いつかそうしたものを全て手に入れることができたとしても、そのとき飛べなくなっていたら、ずいぶんとつまらないと思うだろうな」
飛行機の腕前だけには自信を持つアメリカ人のリックが、イギリス空軍の傭兵部隊に飛び込んで……戦争の現実を目の当たりにしながら、生き抜いていくイカれた男たちの空の戦いを描くアクション・コメディの第二弾。今回は、いよいよ苛烈になっていく戦争と、その戦争が終わるまでを描いたお話です。
いやあ、面白かった。やっぱりリックは楽しいや。撃墜した敵とも仲良くなっちゃうんだもんなあ。いや、本人は喧嘩してるつもりかもしれないけど、どうみても楽しくやってるようにしか見えない。このキャラクタこそが愛すべきバカですよね。
いつの間にやら、ロードまでつられている感があって、このふたりのやり取りは、ほんと楽しい。
今回ロードの妹・シャーロットが登場したわけですが、ひょんなことから会えると喜んでたリックが、戦場の現実を知ったときの様子はやるせないものがありました。そうだよなあ、なんだかんだいって、如何に効率よく人を殺していくか、士気を下げていくかが、戦争なんだよなあ。
死を間近にして、恐怖を感じながら、敵を憎しみながら、それでも人を救いたいとする意思を見せたシャーロットの姿には、思わず背筋を伸ばすものがありました。うむ、やはりロードの妹だな。格好いいよ。
ドイツ側の話も胸に来るものがありました。レッドバロンと呼ばれるほどの人ですら、空を翔ることに苦しみを覚えて、だからといって、空から離れると、とたんに恋しくなる。死と隣り合わせであったとしても、それほどまでに空とは魅力的なものなんだなと思った次第です。それと同時に戦争というものの愚かさを改めて実感させられた気分です。
いやあ、面白かった。
歴史的なお話からしたら、ドイツが負けることはわかっているわけですが、そんな中、誇り高き者たちの姿は、目に焼きつくようなものがありました。撃たれた後でも敬礼する人を、バカとは思えなかった。
不死身の男が見た幻想に涙しましたが、最後のふたりのリチャードのやり取りに、心温まるものがありました。きっと、このふたりは、いつまでもいいコンビでいてくれるんじゃないかなと、そう思います。
天翔けるバカ―We Are The Champions (コバルト文庫)
須賀 しのぶ
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Comment:1
- ジャラル 2008-10-15 (水) 11:04
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須賀先生のヒコーキ馬鹿を書いた作品、堂々の完結編です。少年マンガだと『レッドバロン』リヒトホーフェン男爵と主人公リックの一騎打ち!があるのでしょうが、残念な事に歴史どおりに展開してしまいます。
まあ考えようによっては「騎士道が生きていた最後の時代」を生きたマンフレート・フォン・リヒトホーフェンは幸福のような気がします。「リヒトホーフェン・サーカス」のメンバーで、同僚のゲーリングはご存知のとおりの末路となりますし、弟のロタールは民間の飛行機のパイロットをしていたが、飛行中に墜落死。本編で出番の無い従兄弟のヴォルフラムは、スペイン内戦で名高い無差別爆撃「ゲルニカ空襲」を行い、悪名を残すことになりますから・・・。
ですから続編が読みたいような読みたくないような気分の作品ですね。







