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[浩祥まきこ] ねむる保健室 羽鳥中学十三不思議

「だって委員長、旧校舎のことは転入生にも教えてあげなくちゃ」
「そうだよ、羽鳥中学の一大事だもの。それに間違って入っちゃったら大変じゃない」
『だいたいまさに今も一人、ねむる保健室につかまってるとこだし』
「え、ねむる保健室って?」
なぎがそう問い返すと、みんなはきょとんとした顔でなぎの顔を見た。なぎはぐるりとみんなの顔を見回して、そして、気づいた。
しまった、またやった。
今のは人間の声じゃない。

旧校舎の保健室に迷い込んだ生徒が眠り続けるという不思議な出来事が続く羽鳥中学。人間でないものの声が聞こえる女の子・日向なぎが羽鳥中学に転校した際、霊感があると思われて、クラスメイトに旧校舎の謎を解明してと頼まれて……というお話。

これは面白かった!
十三不思議とタイトルにあるように「ねむる保健室」「語る図書館」「監禁桜の木」などなど、旧校舎に纏わる不思議話がいろいろあるんだけど、どれもこれも怖いというよりは、ちょっと抜けてて面白い。「語る図書館」なんて、旧校舎の図書館で「語る図書館」に遭遇すると、強制的に百話連続で物語を聞かせ続けられる、とかそんな感じなんですから、むしろ会ってみたくなる。

そんな怪談(?)がはこびる学校で、「ねむる保健室」によって眠ったままの彼氏を助けて、というクラスメイトの言葉に、ただ「声」が聞こえるだけで、霊感なんて無いなぎが調査を始めるんですが、それに反対する委員長、もうひとりの転校生もーちゃんの三人が、それぞれ別のところから導かれるように夜の旧校舎で集まってしまうところに、冒険心がくすぐられます。何がおきるのかワクワクする面白さがありました。

そして、旧校舎へ踏み込んだら……。
待ち受けていた十三不思議には、ほのぼのとさせられるものがありましたが、足を踏み入れた少女たちの心の傷が浮かび上がるところには、やるせないものを感じて。自分の責任でないにもかかわらず、自分を責めてしまうのは、汚れといったものや他人との違いを、必要以上に感じてしまう多感期だからなんだろうなあ。

でも、閉じこもろうとする少女をやさしく包んでくれたのは「ねむる保健室」で、少女の心の傷の対象を止めたのは「大丈夫の校庭」で。人以外のものの優しさと、クラスメイトたちの支えがあって、笑顔を取り戻す展開は、ほんと良かったです。

いやあ、面白かった。
これからも旧校舎へ足を運べば、きっと彼らは待っていてくれるんだろうなあと思うと、それだけで楽しくなってしまいますが、これシリーズ化されてないんですね……。まだまだ出てきてない十三不思議とかあるし、人あらざるものたちとの交流もさることながら、学園ものな展開も見せてくれるんじゃないかと思ってただけに、すっごい残念。

でも、この雰囲気はすばらしいと思うので、著者の他の作品にも手を伸ばしていきたいと思います。

ねむる保健室―羽鳥中学十三不思議 (コバルト文庫) - 浩祥 まきこ

ねむる保健室―羽鳥中学十三不思議 (コバルト文庫)
浩祥 まきこ

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