あの若き元首は何を目指しているのか。
一国の元首では物足らず、世界の覇者になろうとでもいうのだろうか――
23世紀。地球の治安部隊としてレジスタンスと戦っていた女隊長キャッスルと副隊長エイゼンが、火星の権力争いに巻き込まれていくという第二部の第四弾。今回は、火星社交界に鮮烈なデビューを果たしたキャッスルを巡って、火星の元首ユージィンと情報部長官ヴィクトールの思惑を張り巡らすお話です。
いやあ、ユージィンの曲者っぷりが目立ちますねぇ。アレを手がけたことや、妻へ手がけたこと、そしてキャッスルに近づいてきたことなど、何を考えているのかさっぱりわかりません。のらりくらりとかわしながら、気づけば彼の思惑通りに進んでいるところには、何とも言えない苛立ちを覚えました。いや、ほんとユージィンに対峙する人は大変だ。
というわけで、宴の後のお話から、火星都市が月面都市と直接対決すべく地球へと向かうことになり始めるわけですが、久しぶりに地球方面の話が出てきてくれて、すっごい嬉しかったですよ。何といってもシドーのそばに、彼女がいてくれてるんですから!まあ、二人でってわけじゃないけど、はたしてどんな距離になってるのか、勝手に想像してニヤリとしてたりする。
他にも、番外編で登場してたリグ、ティナ、そして今まで出番はそれほどなかったけど、結構重要な位置にいるんじゃないかと思われるメイエなどが、火星都市の動きに合わせて、繋がりを見せ始めてくれたので、これはきっと何かしてくれるでしょう。すっごい楽しみだなあ。
火星の方では、ラファエルが大人気なんですけど、ユーベルメンシュとしてではなく、ペット的扱いなところが、何ともらしいものがあります。女の子に囲まれてるラファエルを面白くなさそうに見るキャッスルに、あらあらと思いながらも、うーん、どうなんだろうなあ。未だキャッスルの感情がよくわからない。
まあ、本人も自分を女だということを忘れてるような感じなので(どう考えてもユージィンは、狙ってるだろうに!気づけよ!)、そっち方面の感情は、ちょっと疎いのかもしれないですね。とはいえ、社交界デビューで女らしさを磨いたことやヴィクトールの件で、少しは変わったりするのかなあ。彼女の心の動きにも注目したいです。
これから盛り上がっていくよという状況を作り上げるための一冊という感じでしたが、いやいやどうして面白い。特に、よりによって出立間際に……という大ショックな誤解を生み出すラストには、いったいどんな状況になっていくのか、予想がつかなくなってきました。これは気になりますねぇ。続きがとても楽しみです。
虜囚―キル・ゾーン
須賀 しのぶ
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