「それにさ。大事なのは」
ダイヤモンドはしゃがみ込む。
「生まれるってのは辛いし、死ぬってのは終わりなのよ。だから、その間に、ちょっとばっかり愛するってやつを捕まえなくちゃね。それは結構難しいから、自分の心以外のものさしで計って諦めたりしたら悔しいじゃない。だから、あんたたちが何を選んだって、あたし反対はしないわよ」
呪いにより、自分の意思で獣姿になれるトードリア国の王子ジオラルドと、獣姿のジオラルドを好きになった変わり者の美しき姫ダイヤモンドを中心に繰り広げられる冒険劇シリーズの第五弾。今回は、アラン王子を狙う姫君VSダイヤモンドを描く「ちょー美しい姫君」、ダイヤの三つ子の子供たちとコバーリム編で登場した男女が繰り広げる表題作「ちょー恋とはどんなものかしら」、リブロとライーの幼いころの出会いを描く「冬の祈り、秋の憧れ」からなる短編集です。
いやあ、面白い。登場人物が多いけど、それぞれキャラが立っているので、誰を持ってきても楽しいお話になりますね。
「ちょー美しい姫君」では、自らの美貌を押し売りして、アランと結婚しようとするオリヴィア姫は、どうにも気に食わない高飛車っぷりを見せてくれてたんだけど、アランを助けに入ったダイヤモンドとの乙女な戦いを繰り広げていくにつれて、どんどん見えてくる内面が素敵なんだ。
喧嘩ばかりしてたけど、きっとヴィアとダイヤは、友達になるんじゃないかな。腹を割ったやりとりを見て、そう思いました。いつか、ヴィアとロビンの話が読んでみたいですね。
コバーリム編で脇役でありつつ、出張ってた人たちが繰り広げる「ちょー恋とはどんなものかしら」(なんてタイトルだ)も、楽しかったなあ。子供たちの禁断話には笑いが止まらなかったし、ミナとセリの恋愛要素にはニヤリとさせられるし。何気にお茶目な神様の恋心も、最後に温かく見せてくれて、素敵でした。短いけど良かったです。
でも個人的に一番好きなのは「冬の祈り、秋の憧れ」かな。リブロの幼いころのお話なんですが、なまじ聡明だったがゆえに、つま弾きにされてしまう彼女の境遇には、やるせないものがありました。領主の娘としての立場を自覚し、そのように振舞う姿はさすがと思っていたけれど、やっぱり子供らしいところもあり、温もりを求めていて。
にもかかわらず、表面だけを見てやまない父親と義理の母の思惑は、切ないものがありました。
あのときライーと出会えたのは、まさに運命かもしれませんが、傷つきながらも決してライーの手をとらずに立ち向かったリブロの姿には、少女でありながら気高きものを感じました。
「会おう!いつか絶対に!!」
その約束こそが、彼女を、ライーを繋いだんでしょうね。
さて、次は「レフーラ編」になるのかな。「ちょーテンペスト」なるタイトルでどんな物語を見せてくれるのか楽しみです。
ちょー恋とはどんなものかしら (コバルト文庫)
野梨原 花南
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