「姉が来た、と。そううかがったのですけれど?これはなにかのご冗談?どこにあたくしの姉が?」
「きゃあ、ごめんなさい。だってだって……こちらの方が」
「は、わたくしでありますかッ!?」とうわずった声でアシャ・ネビィ。
「わたしくのことを、あなたの姉かと聞くので、つい……」
「つい、どれだけサバをお読みになったの。お母さま」
力はあるけれど性格に難のある魔術師エイザードと、彼のもとに集まった個性豊かな女の子四人のお弟子さんが繰り広げる修行と騒動を描くシリーズの第七弾。今回は、短編集です。独立ストーリィ「精霊の贈り物」サラがごくちゃんを観察する「ごくちゃんのしあわせ日記」殿下の母が登場「無邪気な聖母」じじいたちの運動会「彼らの楽園」の四編が収録されています。
あー、もう楽しいったらない!
「精霊の贈り物」はちょっとしんみり、でも温かいお話で、「ごくちゃんのしあわせ日記」では、腹筋ネタで腹筋崩壊しそうになりましたが、何といっても笑いが止まらなかったのは、ダナティア殿下のお母さんが楽園にやってきたお話「無邪気な聖母」ですよ。
まさにタイトル通りの人で、何があっても微笑を絶やさず、でも何もできないクリスお母さまは、ダナティアにとっては天敵と言っていいぐらいで、お母さまのペースにイライラしまくる様には、ニヤニヤが止まりません。八つ当たりされるごくちゃんや支部長さんが可哀想で笑いまくりました。
ブチ切れる回数が多くて、母にも強く出て、でも本当は……ってところから、複雑な思いが見えてくると、殿下の娘としての思いに、ね。立場とかいろいろあるから素直になれないこともあるけど、殿下の場合、それは優しさの裏返しだったりするんだよなあ。
結婚話とかドタバタしてたけど、母との思いでしんみりしていた殿下が、最後に笑うことができたのは嬉しく思いました。
そして一番最後の「彼らの楽園」。これがまた素敵なんだ。
四年に一度やってくる「じじい年」という名のお年寄り達のスポーツ大会が描かれるんですが、もうバカバカしいったらなくて、振り回されたり、逆に痛めつけたりと、ドタバタが繰り返される模様が楽しく、久しぶりにブラック・サラが見られて嬉しかったのは僕だけじゃないはず。
でも、こんなバカバカしさあふれる笑いの物語なのに、最後に感動させられるんだから、まったくもって素晴らしい話だよなあ。じじいたち、大好きです。
こんなお年寄りになれたら……と、そう思いました。
楽園の魔女たち―スウィート・メモリーズ (コバルト文庫)
樹川 さとみ
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Comment:1
- デンデン 2010-09-17 (金) 08:51
-
母との思いでは野球部の退部届を出した際に「野球をしていたことは失敗だった」と母から言われた事。







