では、これからどうすべきか。
答えはひとつしかない。この体ひとつで、しばらくは化け物と闘い続けねばならない。
次期総帥の陰から権力を握るのではなく、この世に生まれ出たときからつきあい続けてきたこの手で、掴みとればいい。
ただ、それだけのことだ。
23世紀の火星都市。ブルー・ブラッドでないただの平民であるユージィンが、アフォルター家の娘・アンゲリカと結婚したが、息子を事故で亡くしてた。その四年後、いまだショックを引きずるアンゲリカとは裏腹に、総帥位への野望を着々と進めるユージィンが……というお話。
ああ、アンゲリカ。あなたはなんて辛い思いをしてるんだろう。夫の愛なんてものは、それほど期待していなかったかもしれないけれど、それでも一抹の思いは持っていただろうに。献身に支える姿が痛々しくて仕方ない。あのとき、ヴィクトールを選んでいたら……という、if を思ってしまう。
しっかし、ユージィンってやつは強いなあ。完全なるアウェー状態でも、あらゆる手段を用いて力を蓄えていくんですから。敵対するヴィクトールすら取り込むところは、やはり一枚上手というしかない。なんだかんだいっても手伝うヴィクトールの姿を見てると、腐れ縁というかなんというか。
決して馴れ合うことは無いけれど、自分以外のものに蹴落とされるのは許しがたいという、この二人がお互いに抱く思いってのは、複雑なものを感じるなあ。これこそ好敵手ってやつなんだろうなあと思いました。
今回意外に思ったのは、あのユージィンですら、揺れる思いがあったってことですね。アンゲリカに心を見透かされるなんて、どれだけ隙ができていたんだろう。あるいは、すべての人を駒として見ていたことによる油断なのか。自分は他の人とは違うと頑なに思いながら、決意を新たに進もうとするあたりに、はじめて彼の孤独を見た気がしました。
ここにきて、ユージィンの好感度がちょっとだけあが……りそうだったけど、よく考えたら、ユージィンとヴィクトールに巻き込まれたアンゲリカが可哀想過ぎて、男二人とも謝れ!といいたくなりました。
まったくもって、男ってやつは、冷酷なくせにロマンチストなんだからといいつつ、面白かったので文句言えませんけどね!
このあと、キル・ゾーンの第二部を見たら、また違ったものがあるんだろうなあ。いつか読み返すぞ。
ブルー・ブラッド―虚無編〈下〉 (コバルト文庫)
須賀 しのぶ
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