「あなたがアイロスを釣る餌だからよ」―それがラファエルを意味する名前だと知ったとき、キャッスルは大きなショックを受けた。まさか、彼が……。だが、否定することができなかったのは、ラファエルの体の異常を感じていたからだ。逃げられもせず、どうすべきかとキャッスルが悩んでいる最中、エイゼンたちキャッスル隊の五人は、飛行機で首都アクラへと向かっていた。ところが、途中からラファエルの様子がおかしくなり……
女隊長キャッスルが率いる治安部隊を描いたお話の第八弾。今回は、失踪したキャッスルを追ったキャッスル隊の五人が、首都へと向かったら、ラファエルの様子がおかしくなり……というお話。
前作の終わりで、キャッスルに声をかけてきたのが誰かと思ったら、マックスだったのか。似ても似つかぬイラストだったので、新たな人かと思ったのに、そこまでいろいろできるとは、さすがスーパーサイヤ……じゃなかった遺伝子操作人。
それにしても、ついにキャッスルがラファエルの秘密を知っちゃいましたね。ラファエルの性格をわかっていても、それでも怖いと感じるものはあるだろうなあ。エイゼンのことがあってから、おそらく反抗心から、ラファエルに視線を向けたキャッスルだけど、これでまた彼女の心は揺れそう。
ただ、そんなキャッスルを見て、言わなくてもいい脅しをかけるマックスは……、ラファエルが羨ましかったんだろうなあ。思ってくれる人がいる。そんなことに心が反応してしまうのは、ひょっとしてラファエルやサリエルに出会ったことの影響なのかしら。目的のために手段を選ばないような冷血さの仮面が、ほんの少し剥がれてきた気がしないでもない。
で、キャッスルを追いかけてきたエイゼンだけど、なるほど、相手のほうが一枚上手だったか。いや、これは、例の人の動きを予想すれば、むしろ当然だったかも。エイゼンが予測できなかったのは、やっぱりキャッスルという存在が、彼にとって大きいものだったから故の焦りだったんだろうなあ。
それにしても、過去の因縁の人と出会ったシーンで、エイゼンってのは、人をひきつける魅力があるんだなあと改めて実感しました。キャッスル隊の他のメンバーも、自然と寄りかかるようになってるし、のほほんとしながらも、広い視野とさりげない手助けで、支えてくれる彼の姿は、きっと過去も今も、憧れの存在なんだと思います。
このあたりの気持ちは、僕もい一緒で、彼ならきっと何とかしてくれる……という気持ちがどこかあっただけに、ラストで愕然としました。嘘だ……。いくらなんでもあっけなさ過ぎるよ……。
目覚めが近いラファエルが、もしかしたら暴走するかもしれないという状態にあるというのに、いったいどうなるのか、気になるばかりです。
そうそう。本編の跡に、キャッスルとエイゼンの出会いを描いた「バディ システム」という短編も収録されていました。エイゼンとバディを組んだ若き日のキャッスルが、警戒心丸出しの状態から、心を開いていく様が見えて、いい感じでした。たとえ、彼の思惑を知っていたとしても、それでもこの暖かさは嘘じゃないと思えます。だからこそ、あの、二人の間に深い依存を生み出した事故が起きたんだろうなあ。
あのとき、血の気の引いたキャッスルにむかって発したエイゼンの言葉は、無意識だからこそ、思いの深さを感じました。
罪―キル・ゾーン
須賀 しのぶ
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