森の中では、一日に進めるのはせいぜいが十五キロ。しかし負傷者がいる現状では十キロがせいぜいだろう。だとすると、森を抜けるには一ヶ月はかかる。全員が無事に森を抜けることができるとは到底思えない。誰もが心の中で思いながら、決して口にしなかった言葉が、漏れてしまったのは、敵の狙撃兵が分隊を狙ってきたからだ。
ひとり、またひとりと狙い撃ちされていく恐怖に、キャッスル分隊は襲われていて……
女隊長キャッスルが率いるレジスタンスと戦う治安部隊を描いたお話の第四弾。今回は、レジンスタンスの猛攻から、かろうじて逃げ出したキャッスル分隊が、非武装地帯を目指して、ボルネオの密林を抜けていくお話です。
どこから敵が襲ってくるかわからない緊張感の中で、火気はあっても弾はなく、食料も尽きかけている状態で、約一ヶ月の道のりと言われたら。恐怖にとらわれて、非人道的になことも行ってしまうのかもしれない。仲間であったにもかかわらず、怪我人を足手まといと思うようになっていく心の影が恐ろしかったですが、こういったところもケアしていかねばならないんだから、隊長は大変だよなあ。
自分に対する甘えを許さないキャッスルが、内へ内へといきそうなとき、アヴドゥルの言葉や、ラファエルの能天気さが、支えとなってくれたところは、ほんと良かった。
今回もラファエルがいろいろと嫉妬光線を振りまいてくれて、楽しい思いをしましたが、その嫉妬の視線の先にいるエイゼンの心が見れたのは、個人的に興味深かったです。
キャッスルへ向ける感情は、ちょっと怖いと思いましたが、ある意味、本能的なものだよなあ。体はそういう風にできているんだから、それをどう抑えることができるかで、その人の心が決まるわけで。
支えになりたいのに負担となってることを悔やむキャッスルの思いは分かるけれど、ここはエイゼンを気持ちを汲んで……と思ったら、エイゼンはやけに暗い感情が目に付きますね。それでも、彼女のために動いているところにエイゼンの複雑な気持ちを感じられますが、それでも、この仲間と共にいるのであれば、きっと未来は開けると……思いたいけど不安だなあ。
近いうちに任期を終えるであろうキャッスルに、何が待ち受けているのか気になるばかり。
それにしても、あんなことまでしたのに、キャッスルからまるで男と思われてないラファエルに、涙を誘われる(笑)。
密林―キル・ゾーン
須賀 しのぶ
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