241基地を奪還してから三週間。ようやく基地へと戻れるようになった。交代要員の到着が遅れに遅れたのは、他の場所でレジスタンスの抵抗が激しいということもあるが、それ以上にコタキナバルの基地に麻薬が流行し始めていることが原因のようだ。中毒患者の大量発生により、戦力がガタ落ちになったという話を聞いて、顔をしかめたキャッスルだが、すでに薬の手は、キャッスルの部隊にも伸びていたのだ!怪我で一足先に戻っていたラファエルは、同じ部隊で同じく怪我で基地に戻っていたトビーの様子がおかしいことに気づき……
女隊長キャッスルが率いるレジスタンスと戦う治安部隊を描いたお話の第三弾。今回は、基地内で流行し始めた「エクスプレス」という凶悪な麻薬に、隊員のひとりが飲み込まれて、というお話。
いやあ、びっくりびっくり。今まで示唆されていたことが(というか示唆だってことにも気づきませんでしたが)、一気に花開いての急展開には驚くばかり。まさか、ラファエルが……。いや、キャッスルのピンチのときに、アレっと思ったんですが、ま、ラファエルだし(って言葉ですんじゃうところが、ラファエルたる由縁か)というぐらいに思ってたんですよ。それが、まさか、こんな展開になるとは……。そうだった、よく考えてみたら、これは未来のお話だったんだ。ジャングルという環境に惑わされちゃいけませんね。
いつの間にやら基地内に麻薬が運びっていたのは、敵の手によるものだというのは気づいても、なかなか広がりを止められないところに、戦争の現実を感じます。眠ることすらままならない前線にいれば……そりゃ現実を忘れられるものに手を出したくもなるでしょうね。
仲間からしたら、殴ってでも止めたいと思うものでしょうけど、この仲間としての距離感が、ラファエルとシドーで差があるところが印象的でした。いや、そんな感じだろうとは思っていたんですけど、シドーがラファエルに対して、あんな複雑な思いを持っているとは思ってなくて。ラファエルのような人は、彼にとってどれほど眩しい存在で、どれほど惹かれているかが伝わってきます。
ラファエルは、今回もキャッスルを思う心がはじけてたなあ。エイゼンにからかわれる度に、そんなことない!と必死に否定する姿が、もう楽しくて楽しくて。エイゼンや他の隊員たちからしたら、こんな楽しいおもちゃはないでしょうね。
ともあれ、戦力を欠いた状態での治安部隊が、レジンスタンスの猛攻に襲われたときのシーンは、すごかったなあ。戦闘シーンは決して多くないのに、なんて圧迫感でしょう。全滅するんじゃないかと本気で思いましたよ。切り抜けられたのは、思い切った判断と、ちょっとした運と、不確定要素な人物の登場があったからでしょうね。
いやあ、面白かった。後半は、今までとはまるで違う方向へと進んだ気がしましたが、ある意味ジョーカーだと思うので、このあたりがどうなっていくのか、すっごい気になりますね。冷血マックスもご同類ってことなので、さて、鬼が出るか蛇がでるか。
破壊天使―キル・ゾーン
須賀 しのぶ
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