「もう、考えるのはやめだ。ばかばかしい……そうだ、神じゃないんだからな。いくら考えても公開せずに住む方法なんて、誰も傷つかない方法なんてわからないし、たぶんあるわけないんだ」
西暦二十二世紀。人類は光に近い速度で宇宙を駆け巡ることに成功した。だが、雷光船には大きな副作用があった。肉体的な負担のみならず、いわゆる浦島効果が生まれてしまうのだ。千年にひとりの逸材と言われ、他の人のあこがれであるアーノルドもまたひとり時間の流れから取り残される孤独を味わっていたが……コバルト読者大賞を受賞した表題作「惑星童話」と続編「惑星童話 ―オイディプスの惑星―」が収録されている短編集です。
宇宙を探索という過酷な環境の中、自分だけが取り残されるという孤独は、理解できるけれど、どこか甘えのようなものを感じるのは、残された人の事を考えていないからなんだろうなあ。寂しいことを素直に認めず、得られないのならばいっそのこと自分から手放してしまえとする姿勢が痛々しく思えました。
そんな彼を変えたのが、宇宙に出ている間に同じ歳になってしまった姪で。
家族であり、恋人となり、大切なものを失いたくないと、初めて手を伸ばしたところがとても良かったです。
千年にひとりの逸材というプライドが切ない物語を生みだしましたが、後世に残らぬ事実が温かいものを見せてくれました。
「惑星童話 ―オイディプスの惑星―」は、続編というか、「惑星童話」の主人公アーノルドの息子リチャードのお話です。
英雄な父を持ったが故に、生まれながらにして他人の視線と期待と嫉妬を浴びて、苦悩を抱える少年は、どこか刹那的な生き方をしていたんですが、彼もまた素敵な女性と出会ったことで変わっていくんですよね。
地球から遠く離れた惑星を初めて訪れた時に見た光の海は、彼女がそばにいたからこそ、より輝いて見えたんだと思います。
このふたつのお話で共通して言えるのは、いい悪友がいたことだと思います。焚きつけてくれる存在がいなかったら、自分からは動かない/動けない人たちだから、きっと孤独なまま終わってたんじゃないかな。
有限実行な友人たちとの交流は、もっと見ていたかったなあと思った僕がいる。
ちなみに、宇宙のお話よりも、軍のお話の方がとてもイキイキと描かれているように思えたのは、偏見かしら。
惑星童話 (コバルト文庫)
須賀 しのぶ
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