「こら、泣くな、ジュリエット。私は妻を泣かせるためではなく、笑顔にさせるために贈り物をしたのだぞ?」
「だって、だって、ウイリアムさま……」
「フン、今の『だって』は新妻らしく、甘えた感じで可愛いな、気に入った。もう一度言うのだ、ジュリエット」
ジュリエットは笑って彼を見上げた。
「言いませんわ!」
「笑ったな。花のように可愛い笑顔だ」
スプリング男爵家の泣き虫姫ジュリエット。可愛らしくも背が高く、十三番目の子という不吉さと、子が多すぎるため支度金も用意できない。そんな彼女の元に求婚が!知らせを聞いて喜んだものの、相手は美しくも悪魔伯爵と噂されるウイリアム・バジルで……というお話。
ちょーーーーーニヤニヤした。何ですかこのお惚気満載のラブコメは!
昼間は外へ出てこないし、怪しい人が出入りしてるし、城の周辺にいる人たちは不気味だし、悪魔伯爵と呼ばれてるから、どんなところかと思ったら、実は……という感じに、ウイリアムの秘密が序盤に明かされますが、そのあたりは些細なこと。夫婦になったウイリアムとジュリエットのやり取りが楽しくて可愛くて。気まぐれな魔女のせいで子供の姿のままなウイリアム相手に迎える初夜がたまらなく微笑ましかった。
出会ったころから好意を持っていた二人ですが、何かあるたびにどんどん好きになっていく様子が見えて、読んでるだけで、あー、熱い熱いと言いたくなります。ま、そんなからかいすら、ふたりにとってはいちゃつくスパイスにしかならないでしょうけど。ほんとうらやましい限りだ。けんかして、仲直りして。まったく砂を吐きそうでした。
この国には魔女がいて、特に代表的な魔女が気まぐれに関わってきたりするんですが、力じゃかなわなくてもしてやったりなことをするウイリアムの対峙の仕方が楽しい。ま、奥さんのことになると慌てふためき、オチでは魔女にやられたりするんですけど、それもまたニヤニヤです。
ふたりだけでなく、家族や領民とのやり取りも楽しくて、ほんと一冊丸ごと楽しい時間を過ごせました。このふたりのやり取りはもっと見たくてたまりません。ふたりだけでなく、ウイリアムの見目麗しい弟・ヴィヴィアンの恋も!ぜひとも続きをお願いしたい作品です。超オススメ!
悪魔のような花婿 (コバルト文庫) (コバルト文庫 ま 10-9)
松田 志乃ぶ
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