馬鹿は、わたしだ。
自分から、手を放した。たったひとつの、大切なものを。
仕立人クリスと公爵家の御曹司シャーロックの身分違いの恋を描いたお話の第十九弾。今回は、久しぶりに再会したシャーロックに、クリスは別れを告げて……。モアティエ公爵家のお話のクライマックスです。
予想はしていました。していたけれど、こんなにも辛い思いをするとは……二人の恋の行方に、思いっきり感情移入してたんだなあと実感させられる。好きなのに、一緒にいたいのに……告げた後のクリスの反射的な行動と、動揺から、らしからぬ行動をとるシャーロックの姿が、胸に痛かったです。
ふたりだけでなく、周囲の人達も、何かと焦る姿を見ることができましたが、さらにモアティエ家の長女・コーネリアと彼女を狙うビアードの恋が、大変というか、なんというか。好き合っているのに、くっついては離れてを繰り返す様は、シャーリーからしたらきついよね。うん。
クリスが何を求めているのかがあまり見えないまま物語が進み、その間にリンダが着々と歩を進めて、少しずつ毒を染み込ませていく様にドキドキさせられました。まさかアップルまで……ドロシアがあのままだったらと思うと、ぞっとします。
闇のドレスもさることながら、今回は恋のドレスの使われ方がすごかった。まさかこういう形で見せられるなんて……いやほんとびっくりして、シャーリー目を覚まして!といいそうになったけれど、さすが恋する乙女(シャーリーのことです)は違う。
いろいろ苦いこともあったけれど、ふっきれたシャーロックは、真っ直ぐ進んで行くことでしょう。あとはクリスがどうするかだけど、いま彼女は何を考えているのかしら。
恋のドレスと聖夜の求婚 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (コバルト文庫)
青木 祐子
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