「僕は天使です。あなたを保護しにきました」
「あ、間に合ってますから」
茶子は真顔できっぱりと言い切った。
「どうせ宗教の勧誘かなんかでしょ?間に合ってます」
「いやそういうのとはちがうんですが……」
願いの代償は、世界へのときめきを感じる力?悪魔の誘惑と、その誘惑から保護しようとする天使の狭間で、悩みながら成長して行く少女たちの物語。
これは面白かった。
視野が狭くなるお年頃……いや、これは歳とか関係ないか。悩みごとっていうのは、どうしたって視野が狭くなるもので、解消されるのならば悪魔と取引をしても……と思ってしまう気持ちはよくわかります。でも失って初めて気づくものもあるんですよね。
いろいろ奪っていく悪魔なんだけど、さりげなく人間味あふれてるおかげで(もちろん天使のがんばりもあるけど)、落ち込んでも、前を向くきっかけを得られるのはいいなあ。
お話は、同じ学校に通う四人の少女、アメリカっぽいことに憧れる茶子、引っ込み思案で孤独なルル、男っぽいアキラ、高飛車お嬢様のエリカの、それぞれの視点で一話ずつ描かれるんですが、個人的に一番好きなのは、ルルのお話。
言いたいことをはっきりと言えず、幼い頃から疎外されて育ったため、萎縮して内心を言葉にできず、近づいてきた人に対してもはねのけてしまうという悪循環を繰り返していた少女が、天使とのやり取りで、ちょっとずつ心をひらいていくところがとても素敵なのに、期間限定の恋だから切なくて……
またね、シューティングスターの意味が泣かせるんだ。胸に残る痛みを抱えて、それでも笑顔でいた天使が忘れられない。
よく考えたら、悪魔はほとんど活躍してないようにも思うけど、それはそれ。あくまできっかけであり(シャレじゃないよ)、本当の意味で、変わっていくのは、友のおかげなんですよね。登場人物が重なる四編を通じて、友達になっていく物語が素敵でした。
どうやら著者は、普段コバルトではなく文芸方面に書いてる人らしいです。これはちょっとチェックしてみようかしら。
トゥインクルスター☆シューティングスター (コバルト文庫)
吉川 トリコ
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