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[今野緒雪] マリア様がみてる リトル ホラーズ

「菜々ちゃんと好きになっちゃんたんだから。菜々ちゃんが妹になってくれるだけで、十分だってことじゃないの?」
ああ、こんな時に。菜々は恨めしく隣にいる人を見た。
「本当に大切な人は、ただ側にいてくれるだけでいいんだってば」
どうして、こんな殺し文句をさらりといってくれるのだろう。

祐巳たちが三年生になって、という新章スタート。いきなり短編集ですね。今までと違って、舞台こそリリアン女学園ですが、今まで登場したことがない人たちを主にした物語ですね。しかも、少し不思議系。だから、リトル ホラーなのか。

収録されているのは、以下の五編です。

  • 千波さんの席にいる不思議な生き物との毎日を描く「チナミさんと私
  • イラつく日々を過ごしていた公弥が、公園で出会った先輩は……「ハンカチ拾い
  • お姉さまに喜んでもらうためについた些細な嘘が思いも寄らぬことに……「ホントの嘘
  • 行方不明となった従兄の代わりに教壇にたった多子が受け持ったクラスには、不思議な雰囲気を持つ双子がいて……「ワンペア
  • 自分は女子高生か、それともおっさんか。夢との境界が曖昧になった少女を描く「胡蝶の夢

少し不思議なお話と言うことで、疑問があっても解決されないこともあり、なんともモヤモヤするものがあったりしましたが、そんな中、個人的なお気に入りは「ハンカチ拾い」かな。たった一度の出会いが、人を変えていく。その憧れ模様がとても素敵なんです。
何かあったとき周囲に当たるのではなく、まず自分から動いていく。そんな意識の変化をもたらしてくれる出会いっていいですよね。しかも、その出会いが巡り巡って……にっこりしたくなりました。

五編の短編には、薔薇関係者たちは出てきませんが、短編と短編の間で、薔薇様たちを堪能できます。菜々の視点ってのがいいですね。白薔薇の気品あふれる姿や、紅薔薇の愛し愛されっぷり、そして由乃さんのわがままっぷりと、それをやれやれと思いながら嬉しさを見せる菜々と、呼んでて微笑ましい限りでした。
それにしても、祐巳は貫禄出てきたなあ。憧れる下級生が出てきそうですよね。それに比べて、由乃さんは……げふんげふん。

マリア様がみてるリトルホラーズ (コバルト文庫 こ 7-62) - 今野 緒雪

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