「エルレイン。では、また後ほど。今度は人の姿で会おうぞ」
アレクセルがヒラヒラと手を振る。
「慰めるのにかこつけ、あなたに口づけできるのは緑色の時だけだからな」
城から出ると死ぬ。触れた男はみなカエルになる。生まれたときに二つの呪いを受けたオーデットの王女エルレインの元に、婚約話が舞い込んで…?彼女の魔法を解くために、エリアルダから王妃教育係兼呪い解決係としてやってきた魔法使い・ゼルイークと、脳天気な婚約者アレクセルと繰り広げる騒動を描くお話の第二弾。今回は、かつてエルラインを置いていった魔法使い・システィークが、力を付けて戻ってきて……というお話。
初恋の人が目の前に現れたら。今となりにいる婚約者のことも好きだけれど……と揺れる乙女心にきゅんとしてしまいます。
個人的には、システィークに魅力を感じなかったので、ここまで揺れる思いがよくわからなかったんですが、かつて隔離された屋敷で寂しさを味わっていたときに、システィークと積み上げたものがあったんでしょうね。なんともじれったい思いにさせられました。
こんな時、普段だったら追い払うゼルイークが、妙に物わかりがいいというか、嫌がらせというか、システィークが側に寄ることを禁止しなかったので、いろいろ嫉妬合戦がみれたのは楽しかったです。
のうてんきなアレクセルがこんなに感情むき出しになるなんて思わなかった。
そのアレクセルが今回格好良かったなあ。いつものようにおバカなことばかりやってるんだけど、揺れる少女の思いを受け止めて、優しく包みこむ姿は、ステキでした。むしろ彼はカエルの姿になったままのほうがいいんじゃ……と思ってるのは、僕だけじゃないかもしれないのでやめておこう。
そうそう。今回はゼルイークの秘密も見えてきました。魔法の「力」についての決意の厳しさは、彼自身が背負っていたものの大きさがあったからなんですね。
「夢」を思い涙した彼の気持ちを考えると、気分が重くなりますが、それでも今、アレクセルとエルレインに出会えたことは、彼にとって良かったんじゃないかなと、そう思います。
あとは、いまだエルレインに手を伸ばす魔法使いが、ゼルイークについての鍵も持っていないか、気になりますね。
鳥籠の王女と教育係―魔王の花嫁 (コバルト文庫)
響野 夏菜
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