「期待しなければ、裏切られません。喜ばなければ、悲しみもない。違いますか」
「……いいえ」
その通りだ。そして、たしかに寂しい。
「生きるための知恵です」
ぽつりとゼルイークは言った。まるで、同じ痛みを知るかのように。
「だからわたしは、出来ない約束はしない」
オーデットの王女エルレインは、生まれたときに二つの呪いを受けた。城から出ると死ぬ。触れた男はみなカエルになる。それゆえにお城に閉じこもって生きてきたエルレインの元に、なんと婚約話が舞い込んできた?事情を知っているにもかかわらず魔法大国エリアルダの王子・アレクセルが一目惚れしたらしい、ということで、彼女の魔法を解くために、エリアルダから王妃教育係兼呪い解決係として、魔法使い・ゼルイークが派遣されてきたが、顔は良くともイヤミな男で……というお話。
これは面白かった!
父親だろうがなんだろうが城にやってくる男に対しては、皮肉を浴びせてる王女エルレインが、教育係としてやってきたゼルイークの嫌味に勝てず、キーとムキになりながら、対峙していくうちに、だんだんと……みたいな展開が、ほんといいんだ。
ゼルイークの魔法だったらもしかして、という希望が見えてくるにつれて、ツンとして強い口調は、実は他人との距離を保つための武器だったことが見えてくるのはやるせないものがありますが、ゼルイークだけじゃなく、親衛隊長のオルフェリアや、突如やってきた婚約者アレクセルの明るい……というか暢気と言うかバカというか、そんな空気が、王女を立ち上がらせていくところが素敵でした。
アレクセルがベタ惚れなのは間違いないけど、ゼルイークも皮肉まみれながら気に入ってる様子があるし、さらにはオルフェリアの三番目の兄ローリオも、口は悪いけど、それは好きな子には意地悪しちゃう、みたいな感じのものがあって、なかなかどうして、エルレイン大人気じゃないですか。
エルレイン自身は、まだ恋という思いにまでたどり着いていないようですが、彼女にかけられた魔法の行く末と共にこの恋の行方は大いに気になるところです。
そういえば、このお話は響野さんの「ダナーク魔法村はしあわせ日和」シリーズと同じ世界観のようです。時代は大分前のようですが、ダナーク村のこともちらっと出てきます。ああ、それで「エル」レインなのかと思ったりなんだりしてニヤリ。
ダナーク大好きっ子としては、応援したくなりますね。
鳥籠の王女と教育係―婚約者からの贈りもの (コバルト文庫 ひ 5-80)
響野 夏菜
関連エントリー
[響野夏菜]
[コバルト文庫]
[ライトノベル]
Home > ライトノベル > [響野夏菜] 鳥籠の王女と教育係 婚約者からの贈りもの
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2835
- Listed below are links to weblogs that reference
- [響野夏菜] 鳥籠の王女と教育係 婚約者からの贈りもの from booklines.net







