「もちろん、祐巳さんだって、そのことはわかっているはずよ。だって、先代の紅薔薇さまの言葉をずっと大切にしているから」
「先代の紅薔薇さまの言葉って……」
瞳子が尋ねる。志摩子さんは、二階の通称「ビスケット扉」の前でほほえんだ。
「妹は支え、って」
タイトルどおり、卒業式直前のリリアン女学園高等部の模様を描いた連作短編集です。
桂さんのラケット話や三奈子さんに逆インタビューという粋な計らいのお話があったり、あの蔦子さんが先輩たちにギャフンと言わされたと思ったら、聖が珍しくも由乃と語ったり乃梨子たちとニヤミスしたり。
ちょっと寂しくて、用もないのになんとなく家に帰りがたい。もう少し学校にいたい。そんな女の子たちの気持ちが、あちらこちらで見せてくれる姉と妹のお話から伝わってきます。いいなあ、こういう雰囲気。
そんな中でも一番良かったのはやっぱり、祐巳と祥子さまのお話ですね。「薔薇の館の三年生の忘れ物捜索」でリボンを見つけた祐巳が、持ち主であるお姉さまを探しながら、思い出を辿る道のりは、こちらまで胸にくるものがありました。
あの完璧を目指す祥子さまが、なぜ薔薇の館にリボンを忘れていったか。
そのことがわかるラストの姉妹のシーンに、思わず涙。
卒業前日話なので、しんみりさせられる話が多かったですが、こういうお話大好きです。
さて、次あたりは卒業式になるのかな。あるいは短編挟んだりするのかしら。ともあれ、もうすぐ祥子さまとお別れなのは間違いないですね。
個人的には、祥子さまと祐巳の関係があるからこそのマリみてだと思っているので、祥子さまが卒業しちゃったら(自分の中で)終わりだと思ってるんだけど、実際のところ、どこまで続くんでしょうね。
マリア様がみてる卒業前小景 (コバルト文庫 こ 7-59)
今野 緒雪
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