「わたしはおまえの、打たれ強いところ、小さな身体で根性のあるところが大好きよ。人生の半分は根性で乗り切れるもの。へこたれず、その調子で前向きに頑張っていきなさい」
「根性で乗り切れない、残りの半分はどうするのですか?」
「運とはったりで押し切るに決まっているでしょ」
名門貴族・九条家のご落胤である馨子は、美しく聡明で破天荒。何かしら彼女に振り回されるお人好しな乳姉妹・宮子が、馨子の身代わりとなって九条家の姫様となったシリーズの第二弾。今回は、姫様修行に明け暮れる宮子と付き人・馨子が、仮御所となった冷泉院から出てこようとしない「桐壺の更衣」様の説得を引き受けたら、その冷泉院で死体を発見して……というお話。
やられた!いや、あれだけで気づけるかといったら……というのは、前作でも思ったけど、一応手がかりらしきものもあったんだから、メイントリックぐらいは反応すべきだった。ロマンス方面に気をとられすぎてたぜ。
いや、だって宮子の周辺に集う男たちが、いい男ばかりなんですもん。肝心の思い人である真幸とは、いい雰囲気になると邪魔が入るというお約束は期待通りなんですが、ごまかしかたが半端なく無理やりで、宮子の慌てっぷりに頬のゆるみを抑えることができません。
でも、基本的に真幸とはお約束までしかなく、気づけば、皇太子やら帝の第一皇子である蛍の宮やらが宮子を気に入っていくんだから、もうにやにやが止まらないですよ。特に皇太子。ピンチのときは必ず助けてくれるヒーローみたいな活躍で、こんなんじゃ、宮子も揺れちゃうんじゃないかしらと、毎回ドキドキしちゃう。まあ、宮子自身は、ドキドキといってもきれいな人に近寄られる的なところまでしかないみたいなので、ある意味ホッとしてますけど。
さて、死体という「穢れ」に触れてしまった以上、一定期間部屋に籠って、穢れが晴れるのを待たねばいけないんだけれど、参内日まで間がないので足止めを食らうわけにはいかないとして、秘密裏に片付けるべく、事件の真相を追い始めるんですが、何より張り切ってるのが馨子ってところが楽しいです。あんたこそ本当はお姫様だろうに、なんとはしたない。しかも好奇心からってだけでなく、報酬目当てでもあるんだからちゃっかりしてます。
ま、今回ちょっとした罰みたいなものに遭遇してましたけど、あの程度じゃビクともしないんだろうなあ、と馨子の逞しさを見て思った次第。
今回なんと言ってもよかったのは、皇太子と蛍の宮の間にあった確執が無くなっていったところですね。二人とも聡明だから、自分たちの境遇とかを考えて、どこか構えてしまうところがあったけど、謎を追いながら宮子が取り持つような形になると、そこには年齢相当な子供の姿があって。
うん、良かったです。
さてさて、これにて一件落着ではありましたが、まだ参内すらしてない状況で、こんなドタバタの連続かあ。次は、おそらく参内するお話になるでしょうけれど、どうやらロマンティック多めらしいので期待したいと思います(あ、でも謎も多くてぜんぜんいいですよ!)。
嘘つきは姫君のはじまり見習い姫の災難―平安ロマンティック・ミステリー (コバルト文庫 ま 10-3)
松田 志乃ぶ
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