「もちろん、なにかあっても助けに来てくれないわよね」
イリーシュは訊いてみた。のどの奥で笑ったリレイがうなずく。
「もちろん」
「そういうと思ったわ」
「けれど、無事を祈ってる。朝な夕なに」
どんな強固な警備でも潜り抜けてくるという盗賊「空の旅団」は、実は喪われた民の末裔だった。というわけで、同じ民の末裔であったことを知ったお転婆王女イリーシュが、旅団の一員となって冒険するお話の第三弾。今回は、失われた九つの宝のひとつ<三つ背の風切り>があるとの情報を調査するために、イリーシュが奴隷として潜入するお話です。
いやあ、面白かった!
奴隷に身をやつして潜入するって、どんな王女かと思いますが、さすが元気印のイリーシュ。船酔いやら乱暴な扱いやらを乗り越えて、王宮に入ってしまえば、女官のいじめもなんのそのって行動っぷりを見せてくれますね。どれだけたくましいんだかと思いながら、頼もしい限りです。
まあ、待ってる身であるエイラーンは気が気でなくて、あらぬ妄想をしたあげくに、いてもたってもいられず潜入しちゃうんだから、ニヤニヤがとまりませんけど。
後宮に入り込んだとはいえ、奴隷な身分なので、早々自由な時間はなく、調査がままならぬまま、時が過ぎていくんですが、「扉」を使ったときに、意外なところで、王とばったり出会ってから、怪しまれるから、さあ大変。
しかも、聖妃暗殺の疑いまでかけられてとピンチピンチの連続でどうなるかと思いましたが、とある人の「力」によって、なんとかぎりぎりのところで留まっていくところは、なかなかサスペンスでしたね。
「力」に気づかないイリーシュが、思わず本音を漏らしちゃうところにはニヤリ笑いが止まりませんでしたが、もうひとりの線入社によって、明かされた王の真実には、切ないものを感じました。
喪われたものを取り戻すために立ち向かう人もいれば、立ち止まり戦う人もいるんですね。それもまた強さだと思いました。
いつか彼らが同じ場所へ集うことができたら。そんな未来が待ち受けてることを願いたいですね。
最後まで素敵なお話でした。オススメ!
今夜きみを奪いに参上!-翼のない王 (コバルト文庫 ひ 5-78)
響野 夏菜
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