本部からの指令を無視して、旅を続けていた「黎明の支社団」は、豪華客船「海の泡号」に乗り込んだ。総長が騒動を起こし、ハルセイデスが諌めと、いつものような風景が繰り広げられていたが、そこになんと、シアシーカの元婚約者・ジェダール王子が偶然乗り合わせていたことから、事態は一風変わっていってしまった。なんせ、ワガママな王子様は、いまだシアシーカに未練があるのだから……
優秀だけど堅物な軍人ハルセイデスが、ノーテンキなシアシーカ姫を総長をして守りながら、個性的な部下と共に旅をするお話の第三弾です。今回は、一行が船に乗ったら、かつて総長と婚約したという王子が乗っていて、というお話。
ああ、楽しい!
初っ端のシアシーカのアプローチを、ハルセイデスが悪乗りするところとか、思わずにやりとしちゃいましたが、肝心なところで朴念仁だよなあ。まったくもって、女心のわからないヤツです。……と思ったけど、今までのシーカの行動を振り返れば、本気に捉えるわけないか。ある意味、自業自得ですね、シアシーカ。
というわけで、仲がいいんだかよくわからないふたりですが、そこへシアシーカ姫を諦めきれない、王子様が登場してくれたおかげで、それもシアシーカの本性を知らないおかげで、ハルさんとの間に認識の齟齬が生まれるんだから面白くないわけがない。かみ合わない会話に、思わず吹き出したことが何度あったことか。
その上、シーカが王子の誤解を招くような言動を繰り返すおかげで、ハルさん大迷惑状態になるところとか、すっごい楽しかった。まったりとしたユーモアに、にやつきが止められません。
幽霊問題やら、刺傷事件など、船の上でいろいろな出来事が起きていったときには、ちょっとドタバタ過ぎるような思いもしたけれど、振り回されていくうちに、普段とは違うシーカの姿を見て、普段とは違う思いを胸に抱いて、モヤモヤしたものを抱えたハルさんを見れたのは、良かったですね。You、もうちょっと素直になっちゃいなよYou!とハルセイデスに言いたくなりました。
いやあ、楽しかった。
最後にまた神を降ろしたシアシーカでしたが、その身に降りかかる重さを感じたハルセイデスが、彼女を支えた姿が、とても印象的でした。普段、突拍子もないことばかりやってるように思えるけど、実はいろいろ考えて動いているってことが、大切な人に伝わったのは、良かったですね。
ところで、だんだんと他の団員たちの存在感が薄くなってきてるような気がしないでもないので、そろそろ誰か大活躍を……させたらハルさんが大変になっちゃうからいいか。
グランドマスター!道連れは王子さま
樹川 さとみ
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