モアティエ公爵家からドレスを仕立ててほしい依頼があるという。以前、アップルという少女のドレスを仕立てる仕事を請けたことがあり、また彼女に会えるならと請け負ってみたら、なんとアップルの姉コーネリアのドレスを仕立ててほしいとのことだった。だが、コーネリアには、どこか悪意を感じられるところがあり、お断りしようかと思ったら、彼女の口から闇のドレスの話が飛び出してきて……。
仕立て屋と公爵家の御曹司の身分違いの恋を描いたお話の第十弾。今回は闇のドレス方面の話が、ちょっと動き出してきた……かな。
相変わらず、二人の関係が進まないけど、パメラやユベールに強く出られて、俺だって頑張ってるんだよ、みたいなシャーロックが、だんだんと情けなく見えてきた。クリスを大事に思う気持ちはわかるけど、もっと前面に出そうよ、シャーロックと思いながら、普段はお澄まし状態なシャーリーが、拗ねてるってだけで、ニヤついてしまう。
クリスはクリスで、一歩も二歩も引きつつ、それでも諦めきれない思いに揺れてて、アディルの話を聞いたら、ふらついちゃうところとか、ほんと心が痛い。雨の中、囁きあったシーンは……。ああ、切ない。
一方、シャーロックの友人たるビアードとコーネリアの恋物語は、意外な方面に動きましたね。個人的にはこのふたりはすんなりいくと思ってたので、こんなドロドロするとは思わなかった。プライドから何もいえないコーネリアの思いが切なくて切なくて。思わず闇のドレスを探し求める気持ちがよくわかる……と思ってたら、そういうことだったとは思わなかった。善意の押し付けからくる悪意こそが一番怖いかもしれない。
あのとき、クリスをつれて、かの人と会わせたのは、たんに悪意からきてるのかと思ってたんですが、逆だったところに、彼女の深いところにある愛情を感じました。
ビアードとコーネリアの恋物語はきっとうまくいくと思いたいけど、アップルの話というか、そこの裏があるだけに、どうなることやら。個人的にはそれ以上に、最後にシャーロックとクリスに視線を浴びせていたアディルが気になります。彼女は呼び寄せそうだなあ……。
恋のドレスと秘密の鏡 (コバルト文庫 あ 16-18 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
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