今日こそ、瞳子ちゃんにこれを渡す……その決心が高ぶったせいか、いつもよりも早く目覚めてしまった祐巳は、偶然にも、マリア様の像の前で瞳子ちゃんに出会えた。舞い上がってる自分がちょっと恥ずかしいけれど、昼休みに会う約束をして別れた後、とんでもない光景を目にしてしまった。いや、きっと、見間違いだ。あの小笠原祥子さまが、長い髪を振り乱して走っているなんて……
妹問題がどうなるかについては、表紙のイラストで一目瞭然ですよね!散々、焦らされたお詫びかどうかわかりませんが、初っ端からロザリオ授受のお話を読むことができて……、じわりとさせられるばかり。
妹ができる喜びと、お姉さまである祥子さまとの距離ができてしまうのではないかという不安と。複雑な気持ちに戸惑う祐巳を、優しく包み込んでくれる祥子さまが素敵でした。きっと同じような経験を祥子さまもしたんだろうなあ。大切な人と繋がることの重さを感じさせてくれます。
お姉さまの心を受けて、晴れて姉妹となったふたりが、はじめてお互いを呼び合うときのやり取りに、にんまり。ふたりとも良かったねと、じわりと浮かぶものがありました。報告を受けたとき、乃梨子が泣いた気持ちがすっごいよくわかりましたね。
このお話だけでも大満足でしたが、姉妹問題が終わったと思ったら、どうも祥子さまの様子が変で、何を隠しているやら、気になるばかりでした。祐巳といるときは、わりと普通なんだけどなあ。気になりつつも、お姉さまへの信頼の方が上回るところが、二人の絆の強さを思わせますね。由乃だったら、ぜったい無理やり聞き出してるけど、それはそれで黄薔薇の絆か。
ま、この祥子さま問題は、次なる遊園地リベンジで明かされるのかな。紅薔薇三姉妹の競演が楽しみ。
他には、つぼみたち初の単独の仕事である「三年生を送る会」の準備模様が描かれてましたが、随所で姉とか妹を大切に思う人たちの言葉が聞けて、思わず幸せな気分にさせられちゃいます。姿は見せねど存在感アピールな聖の差し入れや、令の「遺言」など、思わずグッとさせられました。
最後がまた素晴らしい終わり方で。
山百合会のメンバーだけで行なわれるお別れ会は、このシーンだけ切り取って、大切に持っていたいと思わせてくれるものがありましたね。もうすぐ、見えてくる別れの時間を考えると寂しいですが、スーパー一年生たちの活躍をみたら、これからも山百合会は大丈夫だと思いますね。
いやあ、素晴らしかった。読み終わったとき、優しい気持ちでいっぱいになってる自分がいることに気づきました。こういう気持ちを作り上げてくれるんだから、やっぱりこのシリーズはすごいですよね。あー、満足満足。次作もとっても楽しみですね。
オススメ。
マリア様がみてる薔薇の花かんむり
今野 緒雪
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