天界の薬師にして月宮の主である桃凛は、ある日、宝物殿から、桃玉笛の片割れ、玉笛が盗まれていることに気づいた。どうやら人界にあるらしいことに気づいた桃凛は、人界へ降り、玉笛を探しながら、災害で負傷した人々の治療に当たっていた。
忙しく働く中、言葉が足りないけれど、優しさを持つ将軍・月心とのやり取りを、いつしか心待ちするようになった桃凛は……
時系列でいったら、前作よりも遥か昔ですね。桃仙娘々たる桃凛が、禁忌である人間との恋に落ちていくお話ですが、非常にありふれたお話だったなあという印象でした。既に結論は知っているだけに、どんな感じで人間に惹かれていくんだろうと思ってたんですが、いまいち伝わってこなかった気がしました。
気になったきっかけはイマイチでしたが、惹かれ始めてからのそこここで見せられる乙女心はよかったですね。会いたいがゆえに、踊り娘となったり、軍に同行したりする健気さが、ほほえましく思えます。月心も、同じように桃凛に惹かれて、はじめは素直に感情を見せてくれなかったけど、兄とのやり取りを経てから、思わず妃なんて話まででちゃうんだから、やっぱり気になってたんすよね。初々しい反応って、読んでて楽しい。
ただまあ、はじめにも書いたとおり、展開がありふれすぎてて、どうもね。いや、退屈させずに読ませてくれるので、そういった意味では悪くないんですが……。何か印象深いところがあったかといったら、思い当たらないんですよね。特に、禁忌な筈の行為についての葛藤とかがなく、単に惹かれあうだけだったので、物足りなかったです
まあ、今回の一番の不満は、桃華が出てこないことなんですけど。
いや、出てきたけど、序盤ちょっと桃凛の相手をしただけで、これじゃ可愛さが伝わってこないです。桃凛の話も気になるものではありましたが、このお話だったら、本編(っていうのかどうかわからないけど、中秋と桃華が出てくる話)の間、に絡める程度で良かったんじゃないかなあと思わなくもない。
次はぜひ、中秋と桃華の話でお願いしたいところですね。それ以外だったら、うーん、どうしようかなあ。
桃仙娘々伝 雪月花恋
藤原 美里
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