初雪も降り始めようかという頃、ビーが体調を崩したという。村の人に寄れば、毎年のことのようだが、さりとて安心できないイズーは、お見舞い品をもって、ビーの家へと向かった。が、途中で、箒にのった魔女に体当たりされそうに!ビー以外にこんな操縦するやつがいるのかと思ったら、マリエラと名乗った女の子は、フランを母様と呼んで……
魔法なんて過去のものという時代なのに、村の女はすべて魔女というダナーク村に、警察署長として赴任してきた生真面目なイズーが、魔女たちに振り回されつつも、共に歩みよっていくシリーズ。今回は、フランの立場やビーの出生の秘密について、明かされるお話です。
いやあ、面白かった!
お見舞いにいくほど、病気で寝込んでるビーが心配なのに、ビーの嬉しそうな顔を見ると、ついつい無愛想になってしまうイズーの男心が素敵です。今までなら冷静に対処できたことも、ビー相手だと、つい騙されてしまうのは、魔法云々関係なしに、好きな人が相手だということならではの目の曇りというやつでしょうか。
「えへっ?」という笑顔に、血迷いそうになって、必死に抑えるイズーの様子に、ニヤニヤがとまりません。
ビーの親友ベルと彼女の恋人シーカーが姿を消して、という騒動が起こったときも、騒動のシリアスさはさておき、魔法になんか関わりたくないのに、病気の体に鞭打って動くビーのことが放っておけないイズーの頑張りには、涙を誘われましたね。笑いすぎて。
失踪騒動もさることながら、マリエラがきてから、ビーの家族はどうにもギクシャクしてて、いつもだったら当然のように、誰も何も教えてくれないのに、ビーやアガードがぽつぽつ話してくれるようになったのは、やはり信頼が厚くなったってことなんだろうなあ。まあ、アガードからしたら、イズーがビーに惚れてるってことが、見え見えってこともあるんでしょうけど。
ひとりでも多くの人の味方を。そう思わせるぐらい、ビーの境遇は、あまりにも重いものがありましたね。非難の目を向けられる理由はわからなくもないけれど、さらに魔女として大きなものを背負わされるんですから。辛いとき、ひとりで泣き明かすようになったのは、このあたりのことがあったからなんだろうなあ。
彼女の明るさに隠された気持ちには、切ないばかりでしたが、そんな彼女の気持ちをまるごと受け止めて、決して甘やかさず、でもビーだけに覚悟を負わせないイズーの決意が素敵でした。「エラ」についての言葉は、魔法に疎いからこそ思いついたことかもしれませんが、ビーを思っているからこそ思いついたことだとも思います。言葉そのものよりも、きっとビーはその気持ちのほうが嬉しかったんじゃないかしら。
守りたくなく、それでいて絶対な約束には、心の痛みを感じましたが、それを誓うかのような行為には、彼女を守る以上の愛情を感じました。
いやあ、すばらしかったです。村との距離と、それ以上にビーとの距離が縮まってきたので、次は村ではなくイズー関連のお話になってくるんでしょうか。今度はビーのイズーに対する気持ちとかも見てみたいなあ。
続きがものすごい楽しみなシリーズです。
ダナーク魔法村はしあわせ日和~いとしのマリエラ (コバルト文庫 ひ 5-74)
響野 夏菜
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