見た目が陰気なこともあって、近づくだけで避けられ、目を合わせたら呪われるとまで恐れられているうちに、いつしか「貞子」と呼ばれるようになった黒沼爽子は、実は感動屋で前向きな女の子だった。クラスに溶け込めるように努力していれば、いつか誤解は解けるだろうと思っていたが、空回りな日々の連続。そんな彼女の外見に惑わされることなく、分け隔てなく接してくれる風早翔太に、爽子は、いつしか憧れを持つようになり……
見た目が陰気で口下手なため、貞子のようだと誤解されてる女の子・爽子が、クラスメイトの爽やかな男の子・風早の応援を受けて、クラスになじもうと頑張るお話です。原作の2巻までと同じ内容ですね。特別なサイドストーリィなどもなかったので、ちょっと物足りなかったですが、小説だからこその心理描写はとても良かったです。風早の好意をこんなに感じるとは思わなかったですよ。
ただ、風早の爽やかさは、漫画のほうが伝わってきたなあ。イラストの力の大きさを改めて感じる次第。
それにしても、爽子のピュアさがいいなあ。空回りしても、決して人を恨むことなく、努力していこうとする前向きさに心打たれます。休み時間に友達と話をする。授業中に手紙が回ってくる。そんな何気ないことでも、友達がいるからできるんだという嬉しさが伝わってきて、あったかい気持ちになりました。
個人的に好きなキャラは、千鶴かな。風早の次に爽子と仲良くなったクラスメイトですが(共に行動してるあかねもそうだけど)、喧嘩っ早いけど、情に厚くて、だからこそ、ちょっと臆病で。爽子と仲良くなっていくうちに、妙な噂を立てられてしまうところで、思い切って爽子に尋ねることができなかったのは、「もし」という気持ちがあったからでしょう。
このあたりの躊躇いが、自己嫌悪につながって、余計にギクシャクしていくさまは、わかっていても心苦しいものがありました。
だからこそ、あのシーンで涙してしまうんですけど。
いや、正直言うと「知ってる?」のシーンは、原作のほうが泣けましたが、だからといって、こっちでも泣けないわけがない。あー、もう思い出すだけでまた涙。ほんと、いいよね。
小説はなあ……とか思ってる人でも、原作2巻までは読んでほしいと思う次第。
一見、恋愛もののように見えて、むしろ友情ものな一冊ではありましたが、それでも風早の言葉があったからこそ、友達を諦めずにいられたわけで。
がんばれ。
風早の一言が、どれほど爽子の力になったのかを考えると、まだ自分では気づいていないかもしれないけれど、きっと風早のことを自覚するだろうなあ、と思わせてくれますね。
原作は、ここからだんだんと恋愛ものにシフトしていってますが、小説としては、むしろそっちのほうが面白く読めるんじゃないかな。小説版の続編が出るかわかりませんが、ちょっと気にかけておこうっと。
君に届け
下川 香苗 椎名 軽穂
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