婚約の挨拶に行くので、婚約者のサーシアにドレスを仕立てて欲しい。アメリカ人の機械工ラリーの依頼を引き受けたクリスだが、予定が早まったということで、クリスは彼らと共に車で旅をしながらドレスを作ることになった。一台の車に乗れるのは二人なのにどうするのかと思っていたら、このあたりで車を持っているシャーロックが呼ばれて……
どこか影を背負うサーシアのドレスを作るために、クリスが車の旅をするお話です。
陽気で大雑把でなラリーは、このお話の雰囲気からすると浮いてる感じがしないでもないですが、どこか憎めないキャラクタでしたね。クリスはともかくとして、シャーロックをひっぱり込んでくるとは思いませんでした。行動力ってのは侮れないもんです。
婚約者のサーシアはおとなしい印象がありましたが、振り回し気味なラリーをさりげなく支えてて、ああ、なんかお似合いだなあと思いましたね。
それだけに、過去に囚われてる感じのところには意外な思いがしたんですが、栗栖の言葉を聴いて、ああ、なるほどそうだったのかと納得。あれだけの情報から、よくぞあの結論にたどり着けたもんだと感心してしまいます。何気にクリスは名探偵だよなあ。心まで知るからこその恋のドレスってことですね。
まあ、ぶっちゃけ、ラリーとサーシアのの話よりも、シャーロックとクリスの身分違いの恋物語のほうが引き込まれますが。
手が届くことはないけれど想うだけならというクリスと、気になっているのに貴族としてのしがらみにしばられるシャーロックの様子に、あーもう!と、何度言いたくなったことか。住む世界が違うことを忘れそうになるほど、思いあっているだけに、もどかしくて、もどかしくて、たまりません。
旅行のシーンで面白かったのは、人を気遣うサーシアがクリスの面倒を見てくれてしまうおかげで、相手をすることができなくなったシャーロックの拗ねっぷりですね。その後も、クリスが散歩してるのを見かけたら、慌てて追いかけて、さも偶然出会ったような振りをするなんて、普段は冷静な人だけに、やっぱり恋してるんだなあと思わせてくれますね。
そして何より一番印象的だったのは、トラブルのせいで、小さな宿とも言えないところに、二人だけで泊まる事になったときのやり取りです。酔った勢いかもしれませんが、思わず言ってしまった一言と、それに返した一言は、きっとお互いの胸の中に刻まれたことでしょう。イラストと共に、切り取って胸にしまっておきたくなりました。次の日のシャーロックの言葉もまた素敵でしたね。
頭を冷やすのか、手を伸ばすのか。今後のシャーロックの行動が気になるところです。
今回はゲストというか、ドレスを頼んでくる人たちの影がちょっと薄かったですが、いつもどおり、面白かったですね。そろそろ、何か動きがありそうだなあと思ってたら、次は短編集だとか。ちょっと拍子抜けな気分になりましたが、パメラが主役の物語もあるんですとな!?
むしろ本編よりも楽しみかもしれないなんて思う僕はパメラ大好きっ子です。はい。
恋のドレスと運命の輪 (コバルト文庫 あ 16-15 ヴィクトリアン・ローズ・テーラー)
青木 祐子
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