特別な才能を持った人だけが入ることを許される塾で、ヴァイオリニストとして活躍している少女・盟は、合格者わずか二人という音楽枠を突破した。あまり社交的ではなかったが、いつの間にか、沙耶という友人とも言うべき人もできた。
ある日のこと、この塾には裏口入学の生徒がいるという噂を沙耶がもってきて、盟はとっさに共に試験を受けた巴を疑ったが……
特別枠で入塾した盟と学力によって試験を突破した沙耶、沙耶の従弟である拓人、さらに盟と同じ試験を受けて入塾した巴の四人が、裏口入学やあかずの扉など、塾に纏わるミステリアスな話について、解明……というのもちょっと違うような気がしますが、「特別」な塾でのやり取りを描いたお話です。
この著者の魅力は、なんと言っても雰囲気あふれる会話ですよね。ちょっとした皮肉や切り替えしなどもいいんですが、無邪気な会話をしているときに、さりげない一言で、一瞬にして場が戦慄するような、そんな切れ味がたまらないですね。
自分たちで選択して動いているのに、実は誰かの手によって動かされているような、そんな不気味さや、まるで関係ない話が、根元で繋がってるところなどは、いい感じにミステリーで面白かったんですが、リリカル・ミステリーとして繋がりのある他の作品に比べると、ちょっと魅力に欠けるかなあ。
どこがって言われるとココって言えないんですが、ゾクゾクするような感覚がちょっと物足りない。
とはいえ、目を離せない怖さを感じてしまう人間関係の裏が見えるところや、運命を感じさせるジンクスに未来を想えるラストは素敵でした。
『白い花の舞い散る時間』と『盤上の四重奏』とのリンクを感じさせるところにも、ワクワクさせられるものがありましたし、このあとの人間関係がどうなっていくのか、とても楽しみです。
楽園ヴァイオリン―クラシックノート
友桐 夏
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