仮にも自分は「長」のつく役職についている。にもかかわらず、用があるから来いと呼びつけるとは何事だ。ぶつぶつ文句を言いつつ、イズーが魔女長であるアガードの元へ向かったら、ビーも呼び出しを受けていたのだ。いやな予感は当たった。なんと230年ぶりにドラゴンが出たというのだ。いったいどういう状態なのか、ふたりで調査をしてこいというのだが……
もはや魔法なんて過去のものという時代なのに、村の女はすべて魔女。そんなダナーク村に、警察署長としてやってきた生真面目なイズーが、「外」を見たことがないビーと共に、ドラゴンが出たと言う国境へ行くお話です。
いやあ、いいですね。あのイズーが、ビーに対して、いろいろな感情を見せてくれちゃうんですからね。しかも今回は、別のところからドラゴン調査に来ている同年代の男の子の魔法使いライが出てきてくれたおかげで、イズーの嫉妬する姿が見れちゃったりするんですから。これだけでもこの物語を読んで良かったと思うぐらい。
さらには、魔法を使う者にとって「外」がどういうものかわかってしまい、しかも、魔法のことについては察する事ができないために、いろいろ悩むイズーでしたが、それでも、諦めるという選択肢が浮かばないところが、良かったですね。あれは決して挑発されたからではなく、本心からの言葉だよなあ。
ふたりの関係がとてもよかったので、他はどうでもいいや、なんて思ってましたが、どうしてどうして、侮れない。まさかここで、イズーの過去が関わってくるとは思わなかったです。いやはや、いつまでたっても付きまとう存在になるようですね。
おかげで多くのことが、特にビーの秘密についての謎は、いろいろ見えてきたような気がします。いや、謎は謎のままなんですけど、匂わすものがプンプンあって、いろいろ想像しちゃいますね。どうやら、今後はイズーだけじゃなく、ビーも絡んできそうですが、フランは何があるのかは、全然わかんないなあ。う~ん。
ともあれ、騒動も一段落。思わず失言しちゃうところとか、宣戦布告とかいろいろあったけど、あれほど嫌がっていたダナーク村に帰ってきて、一安心するイズーが変わったなあと、そう思える場所になったんだなあと、ちょっと温かい気持ちになりました。
といういい話だったのに、最後の最後までやってくれますね。もう、ごちそうさまと言いたくなるぐらい、仲のよい二人の様子に、うふふでした。
ああ、楽しかった。やっぱり、何だかんだいって、お似合いですよね。次は、どんな騒動と、どんなドキドキが待ち受けているのか楽しみです。
ダナーク魔法村はしあわせ日和~ドラゴンが出たぞ! (コバルト文庫 ひ 5-73)
響野 夏菜
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