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[樹川さとみ] ねじまき博士とガラスの時計

リーの両親だという人が屋敷に押しかけてきたが、アレックスは追い払った。またニセモノだったからだ。どうしてウソをついてまで、リーを?と思ったら、なんと博士とリーのことが、ゴシップ記事となって世間をにぎわせていたのだ。おかげで、両親を名乗るものや養子縁組の話が次々と舞い込む始末。
ゴシップ記事は、だんだんと過激になり、博士の家にまで手を伸ばし、ついには、使用人のプライバシーまで侵し始めて……

若き天才のアレックスと動物に育てられたというリーのドタバタコメディ第三弾です。前作までとは違って、長編形式でしたね。ゴシップ記事に踊らされて、博士の家がにぎやかになっていくところは、ニヤつく面白さだったんですが、遺産目当てのいとこが出てきてからは、もう腹が立ってしかたなかったです。ほっぽりだしてやればいいのに。
おかげで、だんだんと変な噂が選考して、世間の目が冷たくなっていくところには、歯がゆくて歯がゆくてしかたなかったです。

そんな中、博士の屋敷の執事、ロレンスのエピソードがよかったですね。博士以外知らなかった秘密を同僚に明かすことは、他の大勢に明かすことよりも勇気がいることだったでしょう。寡黙ながら、常に屋敷の人たちを見守る視線は、過酷な過去があったからこその物なのかもしれませんね。

過去というならば、ジャックもまた大きな過去を持っていましたね。ただのおふざけカラクリ機械かと思ってただけに意外です。自ら手を汚し、進退すら決めてしまう姿に、男の背中を感じました。ああ……。
そんなジャックに対して、口ではなんやかんや言いながら、強引に説き伏せる博士のツンデレっぷりには、思わず微笑んでしまうものがありました。もう、家族の一員ですよね。間違いなく。
ひとりひとりに対して、リーが書いた作文の言葉に、じーんとしました。

どんどんど大きくなっていった騒ぎでしたが、博士の態度やら驚愕の事実やらで、いい方向へ転がってくれたのでホット一息……と思ったら、まさかこんな驚愕が待っていようとは思わなかったです。リーの家族が判明し、実はリーは……というところは、驚きまくりでした。

個人的には、もうちょっとほのぼのとしたお話があってくれたら嬉しかったんですが、いつの間にやら博士もリーも人間関係に成長が見えて、でも最後の最後までふたりの関係は変わらずにいてくれたというところは、良かったですね。

このシリーズはこれで終わりなんでしょうか?まだまだいろいろ続けることができると思うので、できればもっと読みたいと思うんですが……。

ねじまき博士とガラスの時計 - 樹川 さとみ

ねじまき博士とガラスの時計
樹川 さとみ

集英社(文庫)
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