エリカは、父親の語る故国の話が好きだった。「エリカが十六になったら、帰ろう」と言っていた父だが、病に倒れ、英里花は異国の地に残された。どうせひとりならばと、エリカは、父が帰ろうと約束した故国へ、おばあさまがいるイギリスへと渡ったが……
世界中を旅していたイギリスの上流階級の父と日本人の母を持つエリカが、両親の死をきっかけにイギリスへ渡ったものの、おばあさまは上流階級が何たるかも知らないエリカにお会いになってくれず、ならば、おばあさまに認めてもらえるよう、上流階級を学ぶべく、レディズ・カレッジに入学するお話です。
いやあ、面白いかったですね。女性が勉強することを快く思わない時代なので、ボーイズ・カレッジに間借りする形で勉学をするため、男子学生からは、好奇やら偏見の目で見られ、居心地が悪いことこの上ないんですが、めげずに立ち向かうエリカがいいです。
男子の監督生である年長のジェラルドに目をつけられて、何かと嫌がらせ一歩手前ぐらいのことをされていたんですが、いつの間にかジェラルドが、彼女を守るように動いてたってのが、面白いですね。顔を付き合わせれば、喧嘩が絶えないのに、それでも何かと気にかけていく様には、ニヤニヤしちゃいますね。ただ、第一印象が悪かったおかげで、エリカに気づいてもらえないところは、可哀想ではありますが。
一方、同性はエリカを含めて三人しかいないんですが、仲良くなれそうで、ちょっとした距離を感じるところが、結構印象的でした。態度は冷たくとも、何かと面倒を見てくれるイザベラと、笑顔で迎えてくれるけど、勉強よりも箔をつけるために宿舎にいるドロシーという両極端な二人に挟まれていたということもあるけれど、身分の違いが結構響いてましたね。
そんな中、降りかかってきたトラブルを乗り越えることで、友情を育んでいくところが、ステキでした。特にイザベラとの距離が縮まったところは、好きだなあ。
女性三人のうち、誰かに怪我を負わせようとするような、不可解な事件が起こっていくんですが、ここではエリカの決断よりも、他の人の決断や行動が素敵でしたね。それほど仲の良くなかったドロシーとイザベラが協力したり、規則を振り切ってまで動くジェラルドや、他人とは関わり合いを持たないといっていたロジャーまでも動いてと、彼女の影響は、いつの間にか大きなものになっていたんだなと思わせてくれました。
気持ちが盛り上がってきた後に、やってきた花園のシーンでは、エリカの父の心が見えた「エリカ」に託された言葉の意味が伝わってきて、グッとさせられるばかり。
いやあ、面白かったですね。最後の最後には、やっぱりそうきたかという事実が判明しましたが、そこから温かな「家族」を感じさせて、素敵な恋を予感させる終わり方に、満足です。
続編も出ているみたいなので、これは期待が高まりますね。オススメ。
花咲く丘の小さな貴婦人―寄宿学校と迷子の羊 (コバルト文庫)
谷 瑞恵
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