冬の歌姫長であるベティに、西部の炭鉱町の様子を見てきて欲しいと頼まれたスイとユリアだが、どうやらただ神の力の源を探すだけではないらしい。
目的地の炭鉱で、人を払ったあとスイが歌いだした。闇の歌姫エーシャが草原に闇をもたらしたという禁歌を……
そんな表題作「光と闇の指輪」を含む冬の歌姫たちが送る四篇からなる短編集です。
あとがきによると「光と闇の指輪」が四巻のあと、「ひとりぼっちの女王様」が一巻のあと、「幻の花束」が二巻のあと、「神様の言葉」が四巻と「光と闇の指輪」のあとのお話とのこと。
始めの短編で親密だったふたりが、二編目で妙によそよそしかったので、何があったのかと軽く混乱してしまったので、個人的には時系列に並んでいてくれたほうが良かったかなと思いました。いや、話中がどの時期かというのは書いてあるんですが、なかなか気づけなくて……って、僕が悪いのか。
ともあれ、スイもユリアもたっぷり出てきてくれるのでうれしいですね。
一番好きな話は「幻の花束」です。
遭遇した問題をともに解決していったことで、少しは仲良くなれたと思ったのに、スイが隠し事をしていることに拗ねたユリアが、ちょっとした悪戯をしかけるお話なんですが、ふたりのやり取りがたまらなく面白いんですよ。
ほんのちょっとした事なのに、スイの憎たらしさや負けず嫌いさ、ユリアの好奇心旺盛さや寂しさなどが、とても伝わってくるんです。なんて愛らしい少女たちなんだろうと、何気ない日常の風景が微笑ましい。
表題作である「光と闇の指輪」は、初期のころの話から比べると、お互い分かり合ってるところが随所にあっていいですね。とくにユリアのスイの扱いのうまさといったら!
普段は年齢以上に貫禄を見せるスイが、たまに見せる子供っぽいところを、うまくあしらい、かつやる気を出させるところなんて、ニヤニヤものですよ。
闇の歌姫にまつわる悲しいお話でしたが、終わりがとてもしっとりとして、素敵でした。
これからも二人の素敵な関係が続いてくれたら嬉しいですね。
歌姫-ロジエル-―光と闇の指輪
桃井 あん
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