「それなら、話してみても良いよ。マッキーとましろの関係」
「まし、ろ?」
「四年前に亡くなった、ぼくらのガヴンのリーダーの名前。ただし……」
言いながら宇卵は一子の頬に、小さな硝子玉を突きつける。
「ただし、毒を食らわば皿までなのだ。つまみ食いではなく、全部その目に入れてもらうよ」
魔女を目指す高校の滋賀柾季と、ひょんなことから彼の使い魔になってしまったに観凪一子が、柾季の信条である「皆様のお役に立つ魔女」を目指して社会奉仕を繰り広げながら成長していくコメディシリーズの第五弾。今回は、柾季が魔女を目指すきっかけとなった過去の出来事が見えてくるお話です。
前巻のラストの出来事があってから、柾季と一子の関係がギクシャクしてくれて、思わずにやりとしてしまう出だしでしたが、過去の出来事を読んでいくと……切ないなあ。幼いころ出会った魔女の楽園の主・ましろ。その存在が、柾季にとって、どれほど大きなものだったのかが、よくわかります。天真爛漫なその姿に惹かれていくのは、ある意味、当然だったんだろうなあ。幼さが見せるまっすぐな思いは、長い年月を生きてきたましろの目にどう映ったか。考えると切なくなります。
それだけ影響を受けたのであれば、そりゃ一子に限らず、他の女のこのことなんて、あまり目に入らないか。今回、偶然「ましろ」という名の少年に出会ったときも、普段にない行動をとったのは、「ましろ」の名と「魔女」のことが影響を及ぼしたと思います。
おかげで、悲劇といってもいい展開になってしまいましたが、まだ最悪ではない……と思いたいです。マスターがピンチに陥ったなら、きっと使い魔の一子が動いてくれるはずです。過去の話にショックを受けますが、彼女ならきっと、柾季のためにいろいろやってくれるはずです。できるはずです。頑張って!と背中を押してあげたくなりますね。
さあ、次で最終巻。どういう結末を迎えるのかとても楽しみです。
東方ウィッチクラフト―彼女は永遠の森で (コバルト文庫)
竹岡 葉月
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