「ねえマスター。願いと祈りと希望と欲望の違いって、なんだと思う?」
「同じだろ」
柾季はウィッチボールをポケットにしまいながら言った。
「本質的には変わらない。ただ、自分の中の欲求を、どの言葉で定義するか。俺には、それを決めるときの本人の精神状態の方が、重要だと思う」
魔女を目指す高校の滋賀柾季と、ひょんなことから彼の使い魔になってしまったに観凪一子が、柾季の信条である「皆様のお役に立つ魔女」を目指して繰り広げるコメディシリーズの第三弾。今回は、合宿をしていた歴史研究部員を襲った犯人として濡れ衣を着せられた一子の疑いを晴らすために、柾季と一子が歴史研究部に入ることになったが……というお話。
これは面白かった。
女の子同士が恋について話をしたり、好きな人と星を眺めたり。合宿っていいなあと思うばかり。巻き込まれた一子はちょっと可哀想……と思ってたら、好きな人と一緒にいられる時間が増えるというのは嬉しいことだってのが伝わってきます。ただまあ、元気良すぎて色気ある話にならないところが、このシリーズらしいですけど。
柾季は柾季で、何気に合宿を楽しんでるのかなと思える描写があって、小人さんを演出するあたり、カワイイことしてくれるじゃないかとニヤリ。
ちょっと不思議な雰囲気を持つ夜宵と彼女を守ろうとする水彦、そんな水彦を好きな華南たちと過ごす合宿は、とても楽しいものでしたけど、だんだんと夜宵の不調が見えてきてたから不安を感じていたんですが……。一子が渡された手紙を読んだとき、彼女の思いが伝わってきて思わず涙しました。
困った人がいたら助けに走るとは、柾季の考える魔女像でしたが、柾季は柾季でまた悩むことがあるわけですが、そんな彼を励ますべく言葉を投げかけた一子が素敵でした。あのときの一子の思いは、恋とかそういった感情抜きで、素直に自分の思ったことを告げることができたと思います。
次に柾季が立ち止まることがあったら、きっと一子が隣で励ましてくれると、僕は信じてます。
いやあ、面白かった。柾季と一子の関係はなかなか進みませんが、その分、他の人たちの恋愛話が進んでくれて、ちょっと切なかったりするのは、華南が好きだからです。好きな人の好きな人も好きという悩みを持ちながらもからりとして、機転の利く彼女には、素敵な出会いがあるといいなと願いたくなります。
東方ウィッチクラフト―願え箒の星に (コバルト文庫)
竹岡 葉月
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