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[奈須きのこ] DDD 2

ピッチャーとバッターによる一対一の勝負「SVS」と呼ばれる賭博が流行始めた中、参加していたバッターが、次々と殺されていった。「シンカー」と名づけられた犯人は、SVSルールに則った勝負をしたあとに、打てなかった相手を殺していたのだ。SVSを覆う暗い影に、をオリガ記念病院を退院したばかりの石杖所在は、いつの間にか巻き込まれることになって……

人間の精神を狂わせて、肉体を変貌させる原因不明の病気、アゴニスト異常症患者、通称、悪魔憑きが引き起こす事件を、左腕をなくした石杖所在(アリカ)と、肢体の不自由な迦遼海江(カイエ)が、悪魔祓いするお話の第二弾。

今回は、SVS勝負を持ちかけ、打てなかった打者を殺害する「シンカー」を追う「S.vs.S-1」と「S.vs.S-2」と、吸血鬼と呼ばれるほどの不死を見せる悪魔憑き、日守秋星が名乗りを上げる短編「FOMALHAUT」、次作の波乱を予感させてくれる、言うなれば予告編的短編「Vt.in day dream.」が収録されています。

読み始めは結構混乱したなあ。時系列が一巻よりも前なのね。あっちこっちへ移動するので、流れをつかむまでに時間を要しました。

ともあれ、アリカが始めて悪魔祓いしたお話「S.vs.S-1」と「S.vs.S-2」は、いわゆる野球話ではあるんだけど、打つ・投げるしかない簡略化したものなのに、とても緊迫感を感じるものでしたね。「シンカー」が関わってくると、死を意識させられるから、ある意味当然ではあるんですが、一球一球に込められる思い、相手との駆け引き、襲い掛かる恐怖などなど、見ごたえ抜群でした。
しかも、犯人について、見事に騙されましたからね。懇切丁寧に説明があったのに、気づかなかった僕がいました。ああ、なんか、悔しい。

S.vs.S-1」で、事件の全貌を確認して、「S.vs.S-2」で、当事者たちの内面が明かされていく。この内面に切り込んでいく話は、ほんと切ないものがありましたね。格差から生まれたすれ違いが、ここまで人の思いに重さを与えるとは。アリカの後輩にして犯人の知人である霧栖が、バットを手放した理由は、間違いなく、相手に対する責任感からでしたから。

このふたりのすれ違いが生んだ事件ならば、解決できるのもこのふたりしかいないってことで、アリカが提案したSVSバトルの迫力といったら!一球投げるごとに、一回スイングするごとに、伝わってくる思いと、あの見開きのイラストに、思わず涙が出そうになりました。変則的すぎるけど、青春の一ページといってもいいよね。うん、この話、大好きだ。

FOMALHAUT」は、SVSのときに、アリカと友人になった(自称)日守秋星のお話でしたが、何もなくともトラブルを引き起こしてくれるテンションの高さが楽しかったです。周囲の人からしたら迷惑この上ないでしょうけれど、何かと憎めない性格が、個人的には好きだなあ。
バラバラになっても戻ってくることから、不死身と呼ばれるほどの秋星ですが、不死身の理由がそれありか?的で思わず脱力させられましたが、仮にできたとしても、1日で神経擦り切れそう。ああ、そうか、だから、バカなノリしてるのか。

側にいたら、確実に引っ掻き回してくれるであろう秋星が、アリカが考えた秋星の二つ名を、名乗り上げるときのシーンは、不覚にもかっこいいと思ってしまいました。そのあとバカすぎて、ちゃんと幻滅したけど。
そういえば、秋星とマトさんの初対面もありましたが、この辺がどうつながっていくのかな。

とまあ、これだけでも面白かったですが、驚きは最後の短編「Vt.in day dream.」。扉絵が妹だったので、喜んでしまいましたが、20ページにも満たないお話だから、番外編的なものかなと思ったら、とんでもなかった。そんなオチ?と拍子抜けした後の展開には、驚きを隠せませんでした。これは次なる巻で、とんでもないことがおきること間違いなしですよね。
いったいどうなるんだろう、どうするんだろう?と、まるで読めない展開だけに、気持ちが高揚してきます。これは続きがとても楽しみ。

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