千石撫子は妹の同級生だった。あまり覚えてはいないが、小学生のころ、妹のところによく遊びに来ていた内気な少女と記憶している。あれから六年。人間が変わってしまうには十分な時間が過ぎた。
忍野から頼まれ、山の中にある神社へ向かったとき、出会った彼女は、蛇を切り刻んでいて……
という「なでこスネイク」と「つばさキャット」の二編が収録されています。相変わらず爆笑させてくれる物語なので、外で読むの厳禁。
「なでこスネイク」では、ヒロインである戦場ヶ原ひたぎが出てこなかったんですが、それを補って余りある神原駿河の暴走でした。上巻のときでも十分変だったのに、さらに突っ走ってくるとは思わなかった。あっぴろげなエロトークと、さりげなく戦場ヶ原の影響を受けているマゾりながら攻める会話にメロメロです。
そして何より、的確な突っ込みありがとう阿良々木くん。君のおかげで爆笑度が倍になります。
とまあ、笑いが多いものの、シリアスなところも忘れてはいけない。いわゆる呪いにより、蛇に睨まれた少女を助けるという展開ですが、呪いを解くことよりも、阿良々木の立ち位置を自覚する、欠点を自覚させるところが焦点といってもいいかな。優しさの方向を間違えたとき、悲しむのは誰かということが見えてきた感じです。
で、最終話「つばさキャット」。今まで何かと世話を焼いてくれた委員長のお話ですが、それより何より、やはりヒロインは戦場ヶ原ひたぎなのだ、と思わせてくれる存在感と圧倒的攻め言葉に蕩れます。ああ、神原のときは強気なのに、なんだこのヘタレ具合は阿良々木くん。まあ、初デートに父親同伴させるひたぎさんに叶うわけないですが。
強気で、わりと完璧で、でも恋愛には不器用なひたぎさんが、とっておきの宝物を見せてくれるシーンが、とても素敵でした。いーなーこの雰囲気。最高です。
ただし会話のノリという点では、ヒロインをも上回る小学生八九寺を忘れてはいけない。おそらく著者自身、書いてて一番面白がってるんじゃないかと思うほど、ノリノリでした。委員長が怪異に関わった話に入るまで、つまりはメインの話に至るまでの道のりが、はてしなく長いわけですが、そんなの気にならないどころか、もっと読みたいと思えるほどでした。笑いがとまらない。
で、委員長の話ですが、過去に怪異に携わったことは、少しだけ明かされてましたが、それが明らかになってさらに、という展開。真面目だからこそ抱えてしまったストレスですね。人の心は抑えようとして抑えられるものではないこともあるからなあ。
今まではどちらかといえば、流されていた感のある阿良々木が、きっちり彼女を選んだところが良かったです。怪異への関わり方についても、ひと段落といったところでしょうか。ふざけているようで、落としどころもしっかりしているところがさすがでした。
西尾維新の魅力満載な物語だけに、これで終わってしまうなんて、ほんと残念ですが、次なる物語でまた楽しませてくれることでしょう。今後も大いに期待しようっと。
化物語(下)
西尾 維新
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