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[佐藤友哉] フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人

妹の佐奈が自殺したという。遺書には『ごめんなさい』としか書かれていなかった。どうして?いったい何が?
大きな喪失におそわれていたとき、大槻と名乗る男がぼくのアパートへやってきた。初対面の彼が持ってきたのは、裏モノのビデオ。そこに映っていたのは、三人の男に陵辱されてた佐奈の姿だった。大槻は何も言わず、三人の男の素性と彼らの娘の情報を渡して……

妹を陵辱された公彦が、復讐のために、レイプをした男たちの娘を狙うというお話と言うと、ちょっと足りなすぎるかな。連続殺人犯である「突き刺しジャック」を追うものたちの話も絡んできます。

衝撃的な始まり方ですが、妹の話よりも、公彦の心の動きが何とも気持ち悪いものを感じます。レイプ男たちの娘をひとりひとり監禁すべく動くところは、それほど狂気を感じなかったんですが、何をしたいのかわからないのに、突き動かされるように、手を動かしていく様が、恐ろしいですね。それもある程度冷静に物事を判断しているんですから。何をしたいのかを、娘たちに問われたところの反応に、怖さを感じました。

ただ、せっかく……というのもなんだけど、狂気を感じられるお話であっただけに、もう少し堕ちるような感覚が欲しかったかな。黒く染まりきれないあたりは、何とももったいない気分。

なので、個人的には「突き刺しジャック」方面の話が面白かったです。「突き刺しジャック」が相手を殺害するときだけ、なぜか犯人の視界とシンクロしてしまう明日美が、「突き刺しジャック」を追いかけるところは、何ともミステリー的ですね。超能力みたいなものを使うのに、力が限定されているせいかしら。

見えてくるものがあるのに、どこかチグハグなものを感じましたが、なるほど、そうきたか。
次第につながってくる二つの物語が、妄想というか信心的なものから発生しているところは、何とも君の悪いものでした。それ以上に、エピローグがアレでしたけど。
汚れてない子ってのは、むしろ怖いのかもしれない。

いくつか不明な点があったりするんですが、これは次作以降に語られるのかな。ちょっと物足りないところがありましたが(特に後半)、どうやら次の作品のほうが面白いらしいので、期待したいと思います。
第21回メフィスト賞受賞作。

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > - 佐藤 友哉

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 >
佐藤 友哉

講談社(文庫)
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