「しかし、ききしにまさる恐ろしい奴ら。さすがのおれも冷汗をかいたわ。……それにしても、おれが斬るわけにゆかず、きゃつらをあの女たちに討たせるとすると、これアちと骨だて」
暗愚な藩主加藤明成と彼の手足となる会津七人槍に身内を惨殺され、生き残った七人の女。なんとしても自分たちの手で悪鬼どもを討ち果たしたい。その思いを支援すべくやってきたのが、柳生但馬守の嫡男・十兵衛だった……というお話。
いきなりの惨劇に歯がゆい思いをしていたら、「くノ一」で登場した先姫が出てきて、一気にボルテージあがりました。彼女の女傑っぷりにしびれまくる。
ただ、会津七人槍の強さは尋常ではないので、十兵衛が直接戦うならまだしも、素人の女たちを鍛え上げて、どこまで立ち向かえるのかと思っていたんですが、なるほどなるほど。策がハマれば、強さとはここまで封じることができるんだなあ。
もちろん、女たちも血のにじむような努力があってこそ討てるんだけど、状況が常に変わっていく中、策を練り上げ、隙を作って、ひとりひとり討っていく展開が面白いです。
いつしか藩主と減りゆく七人槍が恐怖に教われ始めてますが、十兵衛側とてぎりぎりのところで戦っているので、余裕はなく、幾度となく迎えるピンチには、ドキドキしまくりでした。
それにしても、十兵衛の魅力がたっぷりのお話だなあ。強いのはもちろんのこと、厳しいこと言いながら、なんだかんだで優しいし、時に純情なところを見せたりして、なんと魅力的な男なんだろう。そりゃ女たちの間に揺れる心が生まれてくるわけだ。
ささいな感情のすれ違いから危険を呼び、あわやというところで見せた坊主の技に、自然と合掌してしまいました。
さて、残りは三人+一人。これからは今までのように容易に踏み込むこともできなくなりますが、どうやって手を下していくのか。楽しみでなりません。
柳生忍法帖(上)―山田風太郎忍法帖〈9〉 (講談社文庫)
山田 風太郎
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