「おそらく、その真田に縁ある女、ひとりか、五人か、それはわかりませぬが、忍法を心得ておるとしか考えられませぬ」
「忍者か!」
家康はさけんだ。
「お千の身辺に真田の忍者がおる。しかも、それが秀頼の子を身籠っておると申すか?」
家康の孫娘・お千の側にいる五人のくノ一は、秀頼の子を身籠っていると言う。子が産まれる前に、なんとしても始末せねばと、家康は伊賀忍者に密命を下すが……というお話。
くノ一が出てくるってことで、そういったシーンが多いのかなと思ってましたが、いやはや、奇抜な忍法ばかりだ。
序盤は甲賀忍法帖のときのように、それぞれの勢力が一人一殺って感じなんですけど、お互い体を重ねたら勝ち、おいう技を持っているので、あの手この手で体を重ねようとするエロさと、ヤったときには決着が付いてる殺伐さとが入り乱れてすごい。
中盤からは姿を消したお千とくノ一たちを追いかける追跡劇な展開になるんですが、忍者だけでなく、阿福(春日局)なども、謀略を仕掛けてお千を追いつめようとするから恐ろしい。むしろただの人間がここまで残虐な考えを示す方がひどいかもしれない。
あと一歩までは何とかいけるものの、何も知らない他の勢力の横やりなどもあって、なかなか追いつめられない展開は、とてもやきもきさせられますが、いつの間にかお千側に感情移入してる僕がいることに気づきました。
女乞食として現れた丸橋の壮絶な戦いの姿は、男気あふれながらも、女としての姿もあって、ただただ感動するばかり。
それにしても破天荒な感じでお話が進んでいくのに、歴史的な出来事との辻褄を合わせていくところはすごいですねぇ。門限話とかうまいなあと思ったけど、一番すごかったのは、最後の一行です。読んだ瞬間、背筋がゾクっとさせられました。このセンスに脱帽です。
くノ一忍法帖―山田風太郎忍法帖〈5〉 (講談社文庫)
山田 風太郎
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