「あいつだ。俺、思い出した」
「あいつ?」
聞き返し、けれど、次の瞬間に「あ」と合点がいく。まさか。
「クリスマス・イヴの終業式の日の自殺者。あいつに間違いないよ。今日、全部、思い出した」
上巻の続き。「三ヶ月前」にタイムスリップした依田いつかが、仲間と共に「三ヵ月後」の自殺を食い止めようと動き出す学園ミステリーです。
あー、やられた!という気持ちは、あるんだけど、それ以上に、仲間が繰り広げる物語が素敵でした。自殺をさせないためには、自信という心の支えを持たせることが大切ではないかということで、自殺者と思われる人が、バカにされ始めた水泳を教えていくという展開で、共に泳ぐことを学ぼうとするあすなの決意が、なんとも心地よい。
もちろん、いつかという指導者がいて、河野の努力を目の当たりにしたからというのもあるんだけど、それまでも、時折みせていた彼女の負けず嫌いさが、だんだんと見えてくるところは、良かったなあ。ついに目標に届いたときの喜びは、こちらまで嬉しくなりましたよ。
知り合ってから、わずかの間に、これほどまでに仲間意識を感じさせられるなんて思ってもいませんでしたが、それだけに、突如奪われた希望に、心の底が重くなりました。軽い気持ちで行動したことが、ここまで人を重くするなんて……
そして思い出された未来と、ひとつの決意と。
究極の予防策という切り札を切るほどの絶望がありながらも、クリスマスパーティで、仲間同士の信頼関係の温かさと、それぞれの頑張りが見えるところに、じわりときちゃいましたよ。脇役とも言うべき人だって負けてなくて、自己紹介のエピソードを聞かされたときには、不覚にもやられました。
ああ、仲間っていいなと思って……からの大どんでん返しには、びびった。同時に納得しました。ああ、あの不自然なタイムラグは、そういうことだったのかと。そう。読んでるときに心に残りながら、でもたいしたことじゃないかと思って見過ごしていたことが、たったひとつの事実を通じて、一気につながっていくところに、大興奮。
そして告げられた言葉。
「ありがとう」
この言葉のために、いつきはタイムスリップしたんだなと思って涙。
いやあ、良かった。ほんと素晴らしい青春物語でした。読後感も良かったし、大絶賛オススメです!
この仲間たちとは、また会いたいものだなあ。まあ、辻村作品の場合、他の作品で、顔を出してくるってことが結構あるから(今回もあった。すっかり忘れてたけど)、そのあたりに期待しようっと。
名前探しの放課後(下)
辻村 深月
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Comment:2
- きつね 2008-04-17 (木) 20:49
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deltazulu さんへ
イジメの部分とか、それを助ける仲間という存在とか、
子供に読ませたい内容だなって思ってます。
この先、登場人物たちのリンクは伊坂さんのように続いてゆくのでしょうね。
それも楽しみです。
- deltazulu 2008-04-20 (日) 09:55
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そうですね。若いころに読むと、また違った思いを抱きそうですが、
それでも、仲間という存在の大きさは感じ取れると思います。> この先、登場人物たちのリンクは伊坂さんのように続いてゆくのでしょうね。
物語だけでなく、リンクを見つけていく楽しみもできますよね。
以前の作品を読み返したくなる魔法のようです。






