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[小野不由美] 悪霊だってヘイキ!上

怪訝そうに見守っていたリンさんがはっとしたように息をのんだ。
「ここですか!?」
……???言葉の意味がわからず、あたしはキョトンとしてしまった。
ナルの唇が動いた。どこか放心したような呟き。
「……やっと、見つけた……」

『憑きもの、幽霊、よろず相談申し受けます』な「渋谷サイキック・リサーチ」に舞い込んできた奇妙な出来事を、ナルシストな所長ナルちゃんこと渋谷一也とその助手であるリン、アルバイトの高校生・谷山麻衣の三人と、ぼーさん、巫女、エクソシスト、霊媒師が、文句を言いつつ協力し合って、事件を解決していくシリーズの第七弾の上巻。
前回の事件からの帰り道。道に迷って訪れた場所を見たナルが、突然その場に残ると言い、さらに「戻ったらオフィスを閉鎖する」と、とりつくしまもない態度になり……というお話。

そもそもナルが「サイキック・リサーチ」なるものをなぜやっているのかってことを、まるで疑問に思ってなかったんですが、そうだよなあ、あの若さで、何の目的もなく動いてるわけないよなあ。「オフィス閉鎖」を聞かされて、狼狽を隠せない麻衣ですが、ナルとの接点が無くなるかもというだけじゃなくて、あの場所が、ぼーさん、綾子、真砂子、ジョン、リン、安原といった人たちとの繋がりを示す場所となっていたからってのもあるんですよね。
自分からではなく、みんなが動いてくれていたからこそ、今の関係があることに気づかされた麻衣の動揺がとてもよくわかります。

そんなわけで、皆を突き放してしまったナルと他のメンバーとの間がギクシャクして、どうなっていくのかと思ったら、いいタイミングで、ゴースト・ハンターとしてのお仕事が来てくれたから良かった。何かひとつの目的に向かっていくってのは、わだかまりをひとまずおいて、付き合うことができますしね。

で、その依頼。地元の村長さんが持ってきたわけですが「廃校になった小学校に幽霊が出るらしいので何とかしてほしい」というだけなら普通だったのに、調べてみると、周辺の人はそんな噂を誰もしておらず、ん?というきな臭さを感じてたら、まさか、ゴースト・ハンターたちが囚われ人になっていくとは思わなかった。げに恐ろしきは、幽霊よりも人ということか。

幽霊といえば、幽霊に対する日本と海外の見解の違いとかは、へー、と思って、言われてみれば、小説とか、映画でもそうだよなあと思ったりして、興味深いものがありました。このあたりのお話もっと聞きたかったというのは余談。

閉じ込められた廃校内で、何が起きるのかと様子を見ていたら、ひとり、またひとりと姿を消す羽目となり、しかも消えた人たちのことを認識できなくなっていくところとか、あああ!
読んでるとき、はじめは、え?と戸惑うだけでしたが、わかってくると、背筋がぞっとするものがありました。いやあ、怖い怖い。

ついには全員が分断されることになりましたが、ここから麻衣は、そしてナルは、どうやって挽回していくのか。
続きとなる最終巻が楽しみでなりません。

悪霊だってヘイキ!〈上〉 (講談社X文庫―ティーンズハート) - 小野 不由美

悪霊だってヘイキ!〈上〉 (講談社X文庫―ティーンズハート)
小野 不由美

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