「さて、どーする。綾子、麻衣」
意味が分からずに顔を見合わせるあたしと綾子に、ぼーさんは笑ってみせる。
「つまり俺たちはナル抜きでやらなきゃならねぇ、ってことさ」
『憑きもの、幽霊、よろず相談申し受けます』な「渋谷サイキック・リサーチ」に舞い込んできた奇妙な出来事を、ナルシストな所長ナルちゃんこと渋谷一也とその助手であるリン、アルバイトの高校生・谷山麻衣の三人と、ぼーさん、巫女、エクソシスト、霊媒師が、文句を言いつつ協力し合って、事件を解決していくシリーズの第六弾。
今回は、代替わりの度に家族が変事に襲われるという吉見家から依頼を受けたいつものメンバーが、呪われた屋敷に向かったら、なんとナルが、その屋敷にいた「何か」にやられてしまい……というお話。
まさかナルがやられるなんて!
いきなりの出来事に驚きましたが、それよりも驚いたのが、ナルの本気を恐れるリンの言葉でした。全員で抑えようとしても、やられてしまうかもというレベルだなんて、恐ろしい。ともあれ、早々にナルがリタイアしてしまったので、残りの面子で事件を追っていくという展開が面白いですね。
今まで散々文句を言ってたけど、いざとなるとナルを頼ってたことが浮かび上がってくるところがいいです。
で、吉見家の十三人と言う大家族の誰かが霊に憑かれてたりするから、また大変なんだ。護らねばならない存在から、逆に手をかけられる危険性があって、子供が無邪気に近寄ってきたと思ったら……おお、怖い怖い。
初めての犠牲者には悲しみを覚えますが、手を書けた人が憑かれてる家族だったことを考えると、やるせないものがあります。
「えびす」や「マレビト」の話を絡めつつ、謎を解いていき、ついに役立つ綾子の巻に感動を覚えて(いや、ほんとすごかった!)、そして最後に復活したナルが見せてくれた鮮やかな謎解きには、もう、格好よすぎてどうしてくれようかと思った。どんだけ名探偵なんだよ。
しかもしかも、今まで隠されていたナルの力の正体まで明らかになってくれて。
いやあ、たまらなく面白いですね!
前作で再登場してくれた安原君も大活躍してくれたし、真砂子と麻衣の間にも、奇妙な友情が生まれてきて、楽しい限りでした。
次の「悪霊だってヘイキ!」でシリーズラストだってことが残念でなりませんが、楽しんでいきたいと思います。
悪霊とよばないで (講談社X文庫―ティーンズハート)
小野 不由美
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