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[小野不由美] 悪霊がいっぱいで眠れない

「この、伊東清美って子は?」
「友達がコックリさんを見てて、キツネに憑かれちゃったんだって。次の三浦聡子さんは、肝だめしをしてから幽霊がついてくるようになったって。もうひとつの、久我山みのりさんは、クラブの部室にポルターガイストが起こるって」
「……どうなってんだ?」
ぼーさんがうめく。
変だ。ひとつの学校にこんなに集中して。しかもこんな短期間に。
「こりゃあ、ただ事じゃないぜ」

『憑きもの、幽霊、よろず相談申し受けます』な「渋谷サイキック・リサーチ」に舞い込んできた奇妙な出来事を、ナルシストな所長ナルちゃんこと渋谷一也とその助手であるリン、そして高校生の谷山麻衣が、解決していくシリーズの第三弾。今回は、ある高校で、きつねに憑かれた、部室でポルターガイストが、などなど、不可思議な出来事が次々と起こっているので、何とかしてほしいという依頼が寄せられて、というお話。

あまりに霊問題が多すぎて、人海戦術を取らざるを得なくなるとは。なんだかんだいって、毎回みんなが集まるシチュエーションがきっちり作られるから素晴らしいですね。集まったら集まったで、きゃんきゃん反発しあうんですが、それもまた仲良きことかな。
ただ、相変わらず綾子の活躍が見れないのがなあ。だんだん可哀想になってきたので、そろそろ、何かひとつぐらい手柄を立てさせてあげてほしいところだったりする。

霊のしわざだと思っていたら、真砂子は霊がいないと言い張り、大きな騒ぎになりましたが、このおかげで、綾子の活躍だけでなく、真砂子も活躍できなかったのは、ちょっと珍しい展開でしたね。
代わりに大活躍したのが、我らが麻衣ですよ。今までも、何かとキーワードになるようなことを見てたりしてたけど、今回はかなりはっきりと見せてくれましたねぇ。なるほど、彼女は彼女でちょっとしたものを持っていたわけだ。

まあ、麻衣の場合は、能力うんぬんよりも、どこへいっても誰とでも交流を深めることができるというのが一番大きな気がしますけど。彼女が信じてあげたからこそ、救われた人がいることは、個人的に印象に残ってます。
麻衣の勘をあっさり信じたナルちゃんには、結構な信頼感を覚えるんだけど、さてさて、どうなんだい、ナルちゃん?彼には真砂子嬢との絡みで何か隠しているものを感じるだけに、なかなか心の内が見えないのが気になるところ。まあ、真砂子と何があるとは思わないんですけどね。

中盤はどちらかといえば、サクっと通り過ぎた気がしますが、この騒動を引き起こしたのは誰かというあたりが見えてきたときには、思わずゾクっとさせられました。何よりも怖いのは、人の心だと思いましたね。無垢な笑顔にやられるばかり。

いやあ、面白かった。だんだんと麻衣もやられるだけじゃなくなってきたのがいいですね。実は褒めてたんだけど、ちょっとデリカシーに欠けた発言をナルちゃんがしたら、ちょっとした逆襲をしてくれるんだから、タフになったもんです。
これは今後のやりとりが、ますます楽しくなってきますね。

悪霊がいっぱいで眠れない (講談社X文庫―ティーンズハート) - 小野 不由美

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