「その新作については『呪いの小説』という言葉や、『読み終えた人間は必ず死ぬ』というコピーは、決して大げさではないそうだ」
「は?」
「その新作を読み終えた人間、作家の奥方、そして作家のエージェント。この二名が現実に命を落としているのだよ」
読み終えた人間は必ず死ぬ。海外でそれなりに名の知れた推理作家が書き上げた物語の「呪い」について、親戚からの頼まれた病院坂黒猫は、センター試験直後の櫃内様刻をつれて、ロンドンへと渡り……というお話なんですが、いやあ、一章ずつ話ががらりと変わる展開がすごかった。
そんな中、これでもかと魅力を放ってくれたのが、黒猫さんです。謎解きよりも様刻と一緒の旅行を楽しみにしてる様子とか、様刻の態度に怒ってたのに、さりげない優しさを見せられたら、黙っちゃうところとか、すっごいかわいくて、普段とのギャップにやられる。そういえば、今まで黒猫さん視点のお話ってなかったよなあと思いながら、ニヤニヤしてました。
個人的に最高だったのは、ロンドンのシャーロックホームズ博物館とマダム・タッソーを訪れたときの黒猫さんの様子でした。ここまでシャーロキアンだったとは!と驚かせてくれるテンションの高さとそれについていけない様刻くんが、マダム・タッソーへいったときに逆襲するさまが素晴らしかった。そうか、黒猫さんは、そんなに怖がりだったのか。弱みに付け込んで、エッチなお願い事をする様刻くんの手腕に惚れ惚れ。
とまあ、二人のやり取りはいつもながら面白かったんだけど、本編はなかなかに読みにくかった。前の章の話を引き継いで、次の章で新たに再構築していくみたいな展開……というか、リレー小説みたいな感じで、どんどんとメタになっていくので、ところどころ、あれ?と思考がはぐれてしまうところがあって、最後のほうは混乱しまくったからかな。
おかげで、不完全燃焼気味ですが、毎度毎度事件の全容が変わって、それでも解決していくところは面白かったです。
次は再び学園に戻るってことなので、期待して待ってたいと思います。
きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス ニJ- 22)
西尾 維新
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