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[西尾維新] 不気味で素朴な囲われた世界

当たり前のように過ぎていく毎日が嫌というわけではない。ただ、何か当たり前じゃない出来事があったっていいじゃないかということで、串中弔士は、日々いつもと違うことをしようと努力していた。所属していたクラスの生徒全員を不登校に追いやるという静かなる人払い令、病院坂先輩と知り合おうと思ったのもそれが理由だ。ようやく将棋を指せる仲にまでなったある日、一人の少女が学校の時計台から飛び降りて……

いやあ、笑った笑った。相変わらず、言葉遊びが面白いですね。「もんだい編」「大もんだい編」「みかいけつ編」「えんでぃんぐ」と分かれているんですが、「もんだい編」では天然なお姉さんとの会話に笑いが止まりませんでした。よくもまあこんなことを思いつくものだと感心してしまいます。
常に嘘しかつかないろり先輩や、ひとりで生徒会をやってたという崖村先輩などといった、個性豊か過ぎる人たちとのやり取りもまた面白いったらありゃしない。

ってなぐあいで始まる「きみとぼくの壊れた世界」の続編「不気味で素朴な囲われた世界(ぶきみでそぼくなかこわれたせかい)」なんですが、「大もんだい編」に入ってからは、一気に雰囲気が変わるから油断できません。会話の妙は変わらないものの、死んだ人が死んだ人だけに、登場人物たちの心に指す影が痛く思いました。

そんな殺人事件を解決すべく、弔士を助手にして動きはじめたのが、先輩である病院坂迷路なんですが、すごいのは、登場してから最後まで、一度として言葉を発しなかったところですね。表情だけで会話ができるって、どんなんだよ!と、思わずツッコミそうになったのは初めだけで、気づけば先輩のとりこになってました。
ちなみに前作で登場した病院坂の従妹ってことを考えると、まるで口を開かないのも、いろいろ考えさせられることがありますね。

ただ、トリックについては、うーんと思わなくもない。いや、トリックそのものよりも、その後の崩し方というか、見せ方の捻り方は、おお、と思ったんだけど……、ちょっと地味。解決が一気に進んじゃったこともあって、ドキドキ感というか、追っていく楽しみが、あまり感じられなかったのが残念。

前作がとても良かっただけに、ちょっと物足りないものがありましたが、事件の真相から受けるエグさは「不気味」のほうが上かも。こういう無邪気なことができるのも、子供ならではというべきかしら。うう、心が痛い。

シリーズとしてはこれで終わりかと思ったら、どうやらもう一作出るらしいですね。これは嬉しい限り。今度は黒猫さんが活躍するお話が見てみたいですが、さてさて、どうなるかしら。

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