唯一の救いは、純菜が同じ学校にいないことだった。虐められていることは知られていても、この惨めな姿を見られないですむのだから。
だが、現実はひどかった。妹を植物人間にさせたスナイパーが再び八木の前に現れたのだ!
純菜が言う「力」を信じながら必死に逃げる八木だが、逃げ切ったところで、現実は変わらず、最後の一線を越え始めて……
ドロドロとした負の感情に気持ち悪さを感じながら、思わず共感してしまう、この何ともいえない感情をどう表現すればいいのか。
今回の救いのなさにはシリーズ最高レベル。一度持ち上げただけに落差が大きい。まさに、八木剛士にとって史上最大の事件でしょう。
途中まで読んでいたときは、むしろ違う意味での事件だと思っていました。妙に純菜とらぶらぶモード入ってたので、そっち方面だと思っていたんですよ。いじめられっこ友人なしなら、十分大きな出来事ですから。
にもかかわらず、ぎりぎりのところで大逆転ですか。さすがに捻り方が違います。
実のところ、偽王や叔母さんやIS2計画など、気になるところもいろいろあるんですが、読み終わったときには、すべてが吹っ飛んでました。まさかこうなるとは。
落ち着くのに時間が掛かりました。
ああ、これはすごい。すごすぎる。あまりにもダークでありながら、一度心を捕まれたら逃げられないこのシリーズ。
次は秋ですか。待ちきれない思いがふつふつ。
八木剛士史上最大の事件 (講談社ノベルス)
浦賀 和宏
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