今、剛士ははっきりと分かる。自分は彼女を好きなのだと。青春なんて甘い言葉とは無縁だと思っていたが、ついに自分にも訪れたのだ。
このままずっと去らずにいてくれたら、と思っていたが、自分は暗い人間だ。純菜と話をするにも話題がない。
いっそ次の殺人事件でも起きてくれれば、会話に困ることなんてなくなるのに……
小説の指導書かと思うような題名だけれども、松浦純菜と八木剛士のシリーズです。
一応、各章の扉にミステリを書くための条件みたいなのがありますが、それの真逆を行くような展開です。この作品がミステリだとするならばですが。
一言でいうなれば、苛められている暗い男子高校生の自嘲と呪詛と妄想で埋め尽くされている物語といった感じです。それだけに引く人はほんと引くと思います。特に女性は受けつけないかもしれません。
暗い妄想ばかりの小説のように思えるけれど、好きな相手の一挙一動で一喜一憂するみたいなことって結構ありますよね。その部分がこれでもかと言わんばかりに全面的に押し出されていました。ここまで酷くはない(と思いたい)ですが、この思考には結構感情移入できました。
マイナス思考や自虐小説的な負の物語を書かせたら、この人は文句なしでトップクラスですね。
ただ、意外なことに、限界まで押しつぶされた感情が解き放たれるラストは、読んでるときには想像もできないぐらい救われる気持ちになりました。美しいと言ってもいいぐらい。
まさに結末圧倒的感動作。
やはり只者ではないよ、浦賀和宏は。
上手なミステリの書き方教えます (講談社ノベルス)
浦賀 和宏
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Comment:2
- lylyco 2006-06-17 (土) 00:12
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はじめまして。りりこといいます。
浦賀和宏はメフィスト賞から追っかけてますが、やっぱり後続のファウスト系作家達の追随を許さないところがありますね。メフィスト賞自体も、西尾維新以降はあまりドキドキしなくなっちゃいました。個人的に。
今読んでいる岡崎隼人という新人も、どうしたって先人達の亜流でしかないような気がしてしまって…。まあ、一作目だけでどうこういっては悪いですが。
それはさておき、次作『八木剛士 史上最大の事件』が今夏にも出るということで、かなり楽しみです。 - deltazulu 2006-06-17 (土) 13:01
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はじめまして。やはり独自の路線を行く作家は面白いですよね。
ぼくも西尾維新ぐらいまでは、メフィスト賞ものに手を出してましたが、最近はあまり食指が動きません。メフィスト賞には尖った作品を出して欲しいですよね。> 次作『八木剛士 史上最大の事件』が今夏にも出るということで、かなり楽しみです。
題名だけでどうなるのかワクワクしてしまいます。
夏ということは、8月ぐらいでしょうか。待ち遠しいですね。






