Home > ミステリー > [浦賀和宏] 上手なミステリの書き方教えます

[浦賀和宏] 上手なミステリの書き方教えます

今、剛士ははっきりと分かる。自分は彼女を好きなのだと。青春なんて甘い言葉とは無縁だと思っていたが、ついに自分にも訪れたのだ。
このままずっと去らずにいてくれたら、と思っていたが、自分は暗い人間だ。純菜と話をするにも話題がない。
いっそ次の殺人事件でも起きてくれれば、会話に困ることなんてなくなるのに……

小説の指導書かと思うような題名だけれども、松浦純菜と八木剛士のシリーズです。
一応、各章の扉にミステリを書くための条件みたいなのがありますが、それの真逆を行くような展開です。この作品がミステリだとするならばですが。

一言でいうなれば、苛められている暗い男子高校生の自嘲と呪詛と妄想で埋め尽くされている物語といった感じです。それだけに引く人はほんと引くと思います。特に女性は受けつけないかもしれません。

暗い妄想ばかりの小説のように思えるけれど、好きな相手の一挙一動で一喜一憂するみたいなことって結構ありますよね。その部分がこれでもかと言わんばかりに全面的に押し出されていました。ここまで酷くはない(と思いたい)ですが、この思考には結構感情移入できました。
マイナス思考や自虐小説的な負の物語を書かせたら、この人は文句なしでトップクラスですね。

ただ、意外なことに、限界まで押しつぶされた感情が解き放たれるラストは、読んでるときには想像もできないぐらい救われる気持ちになりました。美しいと言ってもいいぐらい。
まさに結末圧倒的感動作。
やはり只者ではないよ、浦賀和宏は。

上手なミステリの書き方教えます (講談社ノベルス) - 浦賀 和宏

上手なミステリの書き方教えます (講談社ノベルス)
浦賀 和宏

講談社(新書)
Amazon | bk1


関連エントリー
[浦賀和宏][ミステリー]

Home > ミステリー > [浦賀和宏] 上手なミステリの書き方教えます

Trackback:1

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/914
Listed below are links to weblogs that reference
[浦賀和宏] 上手なミステリの書き方教えます from booklines.net
浦賀和宏『上手なミステリの書き方教えます』(講談社ノベルス) from 書評風-読んだら軒並みブックレビュー 2006-06-16 (金) 21:05
浦賀和宏『上手なミステリの書き方教えます』を読んだ。 イジメられっ子八木君シリー...

Comment:2

lylyco 2006-06-17 (土) 00:12

はじめまして。りりこといいます。
浦賀和宏はメフィスト賞から追っかけてますが、やっぱり後続のファウスト系作家達の追随を許さないところがありますね。メフィスト賞自体も、西尾維新以降はあまりドキドキしなくなっちゃいました。個人的に。
今読んでいる岡崎隼人という新人も、どうしたって先人達の亜流でしかないような気がしてしまって…。まあ、一作目だけでどうこういっては悪いですが。
それはさておき、次作『八木剛士 史上最大の事件』が今夏にも出るということで、かなり楽しみです。

deltazulu 2006-06-17 (土) 13:01

はじめまして。やはり独自の路線を行く作家は面白いですよね。
ぼくも西尾維新ぐらいまでは、メフィスト賞ものに手を出してましたが、最近はあまり食指が動きません。メフィスト賞には尖った作品を出して欲しいですよね。

> 次作『八木剛士 史上最大の事件』が今夏にも出るということで、かなり楽しみです。

題名だけでどうなるのかワクワクしてしまいます。
夏ということは、8月ぐらいでしょうか。待ち遠しいですね。

Comment Form
Remember personal info

Home > ミステリー > [浦賀和宏] 上手なミステリの書き方教えます

Search
お気に入り

左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


わくわくするような大冒険がしてみたいな

時載りリンネ! 1 (1) (角川スニーカー文庫 203-1)時載りリンネ! 2 (2) (角川スニーカー文庫 203-2)

本を読むことで、滋養と時を操る力を得る「時載り」一族。読書よりも遊ぶことのほうが大好きという、おしゃまな女の子・時載りのリンネと、彼女に振り回される男の子・久高が繰り広げる冒険物語。どの年代の人が読んでも楽しめる最高のジュブナイルです。→感想


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top