「感謝するよ……あんたの言葉で、やっと腹が括れた」
親父に提案されなければ、俺は寧ろ自ら進んでそうしたかもしれない。それが最後の保険だと言う考えを、自分から打ち消せなかった以上は。
「俺はあんたとは違う。自分が這い上がるために、他人を踏み台にしたりはしない」
父親に裏切られ、多額の借金を背負うことになった高校生の中也が、自由を求めて多額の賞金が出る裏の世界の麻雀大会に出場するお話。
「この表紙は詐欺です」という帯がついてますが、なるほど詐欺だ。麻雀小説というのは知っていたけれど、稗が表示されて、どんな手を作っていくかという過程が描かれるとは思ってもいなかった(さすがに縦だと見にくいけど)。
しっかし、さらりと書かれてるけど、中也の境遇はなかなかヘビーですね。男に買われなかっただけましというところかもしれませんが、そういうお相手をつとめさせられるというのは、多感な時期であればあるほど、鬱屈していくと思います。
それまで麻雀で負けなしだった彼に、まるで手が入らなくなったのは、このあたりの心境も含まれてるんでしょうね。
復讐のために。そして自由のために。なんとしても裏の大会に出ようとする彼がパートナーとしたのは、同じように裏に関わっていたクラスメイトの七緒だったいうのは、ちょっとアレでしたけど、彼女のうち筋は、なかなかおもしろいものがありました。このあたりは、ライトノベルらしい「力」かもしれませんね。
でも、それは決して優位なだけでなく、不利な状況を生み出すことにもなり、そんなときには、中也が場を読み、アシストしていく。お互いができることを補完しながら勝ちあがっていく展開はよかったです。
これ、もうちょっと本格的な麻雀小説になってくれたら、すっげー嬉しかったけど、さすがにそこまで文章でやると、読むのも大変になるか。
それにしても、こういうお話読んでると、麻雀が打ちたくなってきますね。
ナナヲ・チートイツ (メガミ文庫)
森橋 ビンゴ
「兎」的なお話と聞いて、手を出してみましたが、なるほど、幾つかの代打ちの打ち筋は、似てるものがありましたね。最終平気な彼女なんて、まさに園長っぽくて、思わずニヤリ。
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