「愛してるわ!ずっと昔から……。子供の頃から、愛してたわ!」
町で一番美しい女は、父なし子を四人産み、「1」「2」「3」「悠久」と名付けられた四姉妹は娼婦となった。そして時は過ぎ、町を去った母が戻ってきた時、母は美貌と黄色い瞳を持つ弟を連れてきて……かんばせの美しき子とその血筋がみせる暗く甘い連作短編集です。
娼婦四姉妹、近親相姦、夫の父親を愛した少女、プラスチックなど、非道徳的な愛を描いたお話が収録されていましたが、淫靡で匂い立つものがあるのにどこかドライな感じがありました。美しさと醜さ、年をとること、繰り返される病と真珠など、現実を描きつつ幻想的なところもあり、何とも言えない雰囲気に飲み込まれます。
ただ、なんだろう、感じるのは寂しさだったなあ。愛を手に入れることもあるんだけど、歪んでいる(ように見える)せいか、切なくなります。でも、ある意味、こういう子々孫々の繋がりというのは、特別というわけではないのかも。
僕は二編目の「ジャングリン・パパの愛撫の手」のラストがすっごいゾクゾクして好き。
道徳という名の少年
桜庭 一樹
角川書店(角川グループパブリッシング)(単行本)
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