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[森見登美彦] 夜は短し歩けよ乙女

クラブの先輩が結婚することになり、内輪のお祝いに出席したら、私が一目惚れした彼女もその席にいた。新郎新婦を見ているよりも、彼女を見ているほうがとても楽しいが、そばに座れないという戦略的失敗によって、なかなか親しく話をするきっかけがなかった。やがて、お祝いの席がお開きになり、皆が二次会へと流れる最中、彼女は帰路に着くらしい。ならば、私もと彼女を追いかけ夜の街へと繰り出したが……

例えば、図書館に行って、あるいは本屋で、本を手に取ろうとしたら、同じ本を取ろうとした人と手が重なり合って……見つめ合うふたり、みたいな妄想をしたことがあるなら、文句なしで、この本を読んだほうがいいです。
いやあ、面白かった。素晴らしかった。

同じクラブの後輩を好きになった奥ゆかしき男が、何とか彼女との堀を埋めていこうと、努力するお話なんですが、その努力の方向が、間違った方向ってほどでもないんだけど、小心者っぽい姑息なやり方ばかりなので、笑いが止まりません。
自分に自信がない男が、彼女と偶然出会うシチュエーションを作るために策を練り、会ったときの妄想に浸る姿を、周りから見たらこんなに面白いとは思いませんでした。自分でも同じことやりそうなだけに、胸に痛いところがあったのは内緒。

第一章の「夜は短し歩けよ乙女」で、夜の街を歩く彼女に危険があってはと追いかけていったら、彼女はとんとん拍子に親切な人とめぐり合って、おいしいお酒を飲むのに、男は追いつきそうであと一歩追いつけず、いろいろひどい目に合うという展開に、なんとも不思議なユーモラスさがありました。どこかファンタジーチックな雰囲気と、巡り巡る縁に、堪らなく楽しい気分にさせられますね。
それにしても、はじめに唐突に出てきた「おともだちパンチ」が、まさかあそこで生きてくるとはね!いやいやいや、こんな後輩だったら惚れるのも無理ないです。二足歩行ロボットのステップを踏む純粋な天然っぷりにやられました。

第二章「深海魚たち」では、古本市に彼女が出かけるという情報を入手した彼が、偶然彼女と出会うことを願っていろいろ飛び回り、第三章「御都合主義かく語りき」では、学園祭に彼女が(以下同文)などなど、必死の努力が実りそうで実らないところは、我が事のように泣きそうになります(笑いながら)。

もうね、御都合主義だろうがなんだろうが「いけ、そのままいけ!」と応援したくなるんですよ。先輩後輩だけじゃなく、ほかに出てくる人たちの恋愛も応援したくなるんです。
パンツ総番長の話では「そこに彼がいるぞ!」「そこに彼女がいるぞ!」と声を出して言いたくなりましたからね。出てくる人たちの魅力に酔いしれました。ああ羨ましい。僕も仲間に入りたい!

第四章の「魔風邪恋風邪」は、それまでと違ったパターンで、「私」が自分を見つめなおすところが印象的でした。風邪とかで弱ると、いろいろ考えちゃうことってあるのはよくわかります。いったいどうなるのかな、どうするのかなと思っていたら、こんなファンタジーな出会いを持ってくるとは!「夜は短し歩けよ乙女」という言葉が魔法のように思えました。
最後の最後のシーンが、めくるめく始まりを思わせるだけに、ニヤニヤニヤニヤしちゃいますね。

あー面白かった。道行く人に分けてあげたくなるぐらい、楽しい気持ちで満たされました。とびっきりキュートな女の子と、とびっきり小さな勇気を持った男の子が繰り広げる恋愛冒険物語は、ぜひぜひぜひ多くの人に読んでもらいたいですね。
超オススメ!!

夜は短し歩けよ乙女 - 森見 登美彦

夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦

角川書店(単行本)
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森見登美彦 / 文学・歴史・その他

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Comment:4

T/T 2007-03-29 (木) 00:30

はじめまして。私も読んでみました。一章で話の土台を固め、二、三章で話の中心を語り、そして終章で締める。起承転結の王道とでも言いましょうか、しかし最後の展開には思わず顔がにやけてしまいました。実は高校の課題で読書感想文が出ているのでこれで書いてみようと思います。

deltazulu 2007-03-29 (木) 21:48

高校の課題の感想文で、こういう物語本ってOKなんですか?
うやらましいです。

chiro 2007-07-10 (火) 12:17

こんにちは。
先にTBだけで失礼しました。

私もパンツ総番長と主人公の恋を応援してました。
「いけいけ!」と(笑)。
私も妄想することはありますけど、男性の妄想も凄いですね。
妄想から行動に移せるのも凄いし。
でも、幸せな物語でしたねぇ☆

deltazulu 2007-07-10 (火) 20:04

いえいえ、TBだけでもいいですよー。

> 私も妄想することはありますけど、男性の妄想も凄いですね。

一般男性の妄想基準が、このレベルだと思われると困ります(笑)。
でも、とても楽しく、幸せな話でしたよね。なんか、もう一度読みたくなってきましたよ。

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